う~ん。残念!北京冬季五輪カーリング女子決勝で英国と対戦した我がロコ・ソラーレは善戦むなしく3対10と敗れて銀メダルとなった。しかし、前回大会以上の戦績を残した彼女らは天晴れである。また、改めてカーリングの魅力に触れた今大会だった。
連日、サブテーマのような形で書き綴ってきた《北京冬季五輪》であるが、今日は最終日なのだからメインテーマとして取り上げることにした。そう思いついたのも、今大会におけるロコ・ソラーレの大健闘があったからだ。
ロコ・ソラーレ…、それは彼女らの出身地である常呂から太陽のように輝きを持ったチームになるようにと名付けられたチームだという。チーム名そのもののように、彼女らはカーリング・シート内で、いつもどのチームよりも明るく振る舞い、太陽のように輝きを放っていた。喜怒哀楽を前面に出し、カーリングを心から楽しんでいる様子が画面を通して伝わってきた。苦戦続きだった決勝戦でもそれは変わらなかった。そこが彼女らの魅力であり、凄いところだと思った。
結果は彼女らが思い描いていたメダルの色とは若干違ったかもしれないが、堂々たる世界第2位である。スコア的には3対10と惨敗である。スキップの藤沢選手が試合後のインタビューで何度も「悔しい!と連発したそうだが、その思いも分かるし、その思いを率直に口にする彼女らの素直さもロコ・ソラーレの魅力である。
ロコ・ソラーレは2月10日に予選リーグで対スウェーデン戦以来、決勝戦まで全11試合、1試合の試合時間が平均2時間30分くらいだという。そうすると、ロコ・ソラーレの選手たちは実に27時間30分も戦い続けていたことになる。その間、カーリングファンはもとより、多くの人々が健闘するロコ・ソラーレにTV画面を続けて声援を送り続けた。その声援に彼女たちは素晴らしい戦績で応えてくれた。そう考えると彼女たちに今大会のMost Memorable Players(最も印象的な選手たち)の称号を贈りたいと思う。ありがとう!ロコ・ソラーレ!!!
ところで、今大会の女子カーリングはカーリングの奥深さ、難しさを改めて私たちに教えてくれたと思う。というのも、決勝戦の日本と英国は現在の世界ランキングが第7位と第8位のチーム同士である。一方、3位決定戦を争ったのはランキング第1位のスウェーデンと、第2位のスイスだったのである。ランキングはこれまでの戦績を数値化したものだと思うが、今大会ではランキングの立場が完全に逆転した形である。それほどカーリングの場合は絶対王者というのは存在しないスポーツなのかなと思える。つまりチーム間に例え実力差があったとしても、一つ一つの試合においては簡単にその立場が逆転するところにこのスポーツの奥深さ、難しさが存在すると言えそうだ。
カーリングはまた、その動きがけっして激しくもなく、速くもない。そうしたことから「カーリングはスポーツなのか?」という疑問を呈する向きがあるという。とんでもない誤解である。あのストーンを投ずるときの選手たちのフォームを一般人はけっして真似することができない。私も過去に何度かカーリングを楽しんだ(?)ことがあるが、とてもとてもあのようなフォームを真似することができなかった。しかもあのフォームで、重さ20kg前後のストーンをおよそ40m先のハウスに向かってmm単位でストーンを運ぶ(滑らせる)繊細な技術が求められるのである。力強く、繊細な運動神経が要求されるスポーツなのである。
それと共にカーリングに要求される能力として、氷を読む力である。氷の状況は見ている我々には分からないが氷の状況は刻一刻と変化しているらしい。その状況を的確に読みながら戦略を立てる必要がある。さらに、カーリングの場合は選手たちがストーンを投ずる度に氷上のストーンの位置は一変する。その状況を読み、その時々の戦術を練らねばならない。そこで必要になるのが選手同士のコミュニケーション能力である。カーリングにはこの他にも私が知らない能力が求められているのかもしれない。というように、カーリングは、人間のあらゆる能力を必要とし、求められるスポーツと言えそうなのである。
よくカーリングは「氷上のチェス」とも称されるが、人並み以上のスポーツ神経の良さを求められながら、そのうえ戦略・戦術に優れた者でなければ選手として適していないといえそうだ。そうしたあらゆる能力を高めたうえでも、ジャイアント・キリングが起こり得るスポーツなのだ。なんとも魅力たっぷりのスポーツであることを私は今北京冬季五輪でロコ・ソラーレの快進撃を追いながら再認識することができた。
※ 掲載写真は2枚ともウェブ上から拝借しました。
( ゴルフやボーリングがスポーツから除外されても、ぼく自身はかまいませんが )
テニスやサッカーに比べれば試合のテンポはゆっくりしたものですが、ストーンを押し出す姿勢はもちろん、氷の上をすいすいと歩く、ストーンを追う、とまっているストーンを蹴飛ばしたりつまずいたりしないなど、常人には真似のできないスキルの塊だと思います。
そして何よりもコミュニケーションのスポーツだと言えますね。試合中、あんなに相談ばかりしているスポーツは他にない!、と思うのですが、どうなのかしら?
相談内容を隠しもしない、というのも特徴かな。野球だもサインで相談することはあるようですが、あれは内緒話ですよね?
一瞬にして勝敗の行方が決まってしまう冬のスポーツが多い中において、あれほど長くテレビ画面を占有しているスポーツはありませんからね。まあ、忙しい方たちには見向きもされないでしょうが、私のように時間が有り余っている人間にとってはお付き合いするには適したスポーツです。
一つ情報ですが、あの選手たちの会話が見ている人たちにも分かるようにマイクを装着させたのは、カーリング関係者の決断だったそうですよ。