作家・桜木紫乃氏は言う。「人間、明日何があるか分からない。だから美味しいものを食べて、日々楽しみなさい」と…。意外にがらっぱちな素顔を見せながら、桜木氏は自らの素顔を快活に語った。
本日、北海道新聞社主催の「みんなの終活フェア」がロイトン札幌を会場に開催された。そのフェアの特別講演として江別市在住の直木賞作家・桜木紫乃氏のトークショーがあり参加した。(桜木氏は2013年に「ホテルローヤル」で第149回直木三十五賞を受賞している)
講演ではなく、トークショーと表現したが桜木氏の友人でフリーアナウンサーの大津洋子氏の質問に答える形で話が進められたのでそう表現した。テーマは「もう少しワクワクしませんか~この先は自分のために~」というものだった。
お話はまず自らの家族のことについてだった。桜木氏は自らの父親を「横暴、山師、勝つことのないギャンブラー」と称した。父親をここまでボロクソに云いながらも、どこか楽しそうに語る姿が印象的だった。また、母親については「いつも父親と別れたがっていた」と語り、現在は認知症を患っていることも包み隠さず語る桜木氏だった。
桜木氏は作家として本格的に活動をはじめて20年が経過したそうだが、作家生活に入ってから特に親しくお付き合いしている方を3人挙げてほしい、という大津氏のリクエストに次の3人を挙げた。一人目は「大沢在晶」さん、二人目は「小池真理子」さん、三人目には「カルーセル麻紀」さんを挙げた。
大沢在晶さんは「新宿鮫」で有名な作家であるが、桜木氏は「兄さん」と慕っているそうだ。彼女の作家活動を親身になって応援してくれているという。
小池真理子さんは、女性でありながら「アニキ」と呼んで親しくさせてもらっているという。桜木氏は彼女の文章の素晴らしさに憧れるという。メールの文章まで素晴らしいと 小池氏に心酔しているそうだ。
カルーセル麻紀さんは同じ釧路市が故郷という縁もあるが、彼女(彼?)の繊細さ、細やかな心の持ち主であること対する尊崇の念を抱いているという。カルーセルさんは パイオニアのごとく、世間と闘い続けた人で、自己愛の強い人として尊敬すると語った。
こう語る桜木紫乃氏から彼女の人となりの片りんを伺えるような気がする。
最後に「自分史を書きたいと思っている方にアドバイスを」との大津氏からの要請に対して「書いて満足するだけなら、自分と一緒に燃やしてしまいなさい。(つまり棺桶に一緒に入れなさいという意味)」と何とも大胆なアドバイスだった。つまり桜木氏は故人の自慢話や悔悟の話を誰も読みたくないはずだとズバリ指摘したのだった。
桜木氏は現在57歳。私(たち)と比べるとまだまだ若いが、最近アルトサックスの教室に通っているという。教室に通い始めて3年が経過したそうだが、上達は亀の歩みのように遅いが、自分が少しずつでも上達を実感できているところにやりがいを感じているという。そして、「人間、明日何があるか分からない。だから美味しいものを食べて、日々楽しみなさい」と2度繰り返し、トークショーを締めた。
私は残念ながら桜木氏の著作は一冊も手にしたことがない。あるいはこれからも手にする機会はないかもしれない。なのに今回彼女の話を聴いてみようと思ったのは、功成り名をあげた方のお話には得ることがあると考えたからだ。その期待どおり作家・桜木紫乃氏の人となり、さらには彼女の人生観のようなものを伺えたことは収穫だった。
※ 今回も会場での写真撮影はNGだった。そこで掲載写真はウェブ上からお借りした。
《北京冬季五輪寸評》
2月4日開会した「北京冬季オリンピック」もとうとう明日で閉会となる。
日本選手の出番も少なくなってきた。前回平昌大会で見事金メダルに輝いた高木菜那選手が出場したスピードスケート女子マススタートが行われた。しかし、高木選手は予選でパシュート(団体追い抜き)の時と同様、最終周にまたも転倒してしまい決勝に残れなかった。決勝戦に進んだ佐藤綾乃選手も最終周において選手同士のブレードがぶつかったこともあり、第8位入賞が精いっぱいだった。マススタートをはじめて真剣に見たが、いろいろと決まりがあり、選手同士の駆け引きもあって、ある意味で奥の深い競技なのかもしれない。しかし、一方で純粋にタイムを競うスピードスケート競技とは異質のようなものも感じられた競技だった。
さて、日本にとって残るは明日のロコ・ソラーレの決勝戦だけである。決勝戦の相手イギリスとは予選リーグ戦で4対10と完敗している。準決勝の対スイス戦同様に再びジャイアントキリングを再現してほしい! 笑顔を忘れず、頑張れロコ・ソラーレ!!