都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

じゅんじゅう、つるつる:山元麺蔵のカレーうどん

2009-06-15 20:32:30 | 食べ歩き

初夏ですので、シリーズを変更します。暑くなるとフライものよりもさっぱりしょうが焼きなどソテーものと麺類を。<o:p></o:p>

梅雨の晴れ間で陽射しがきつい。竹の秋も過ぎた頃だし、早起きして嵯峨野の竹を楽しみにスポルティーフに、バイク・パンツとヘルメットで。(ヘルメットは涼しい)写真を撮りながら3時間ほど楽しみました。帰りに上七軒の七味唐辛子の長文屋で小辛を中缶(800円)購う。お腹が空いたので、夏の風物詩 山元麺蔵のカレーうどんへ。11時の開店前に間に合い、無事着席。お茶のポットが卓上に出るようになっていて、乾いた体にずいぶん頂きました。<o:p></o:p>

カレーうどんは炊いてあるお揚げの甘さ、斜め切りの葱の美味しさ、麺の旨さとおだしのからみがたまりません。麺は呆れるほどの量です。辛さは足りないので一味を一杯入れて良い感じですが、うどんなので黒七味をそこそこ、ついでに山椒も足して美味しさ倍増。ご主人が「(ふつうでも)辛くないですか」と来られたので「まだまだ」と答えると「辛目もできます」とのこと。「極辛」目指して精進するか。(庭大王も誘おう)<o:p></o:p>

七味のお話しでは原了郭の黒七味と長文屋の対比がある。黒七味には、唐辛子、山椒、白・黒ごま、芥子、麻の実、青のり 炒ってから(黒くなる)手でもみ込む特徴があります。<o:p></o:p>

ちなみに長文屋は唐辛子、山椒、白・黒ごま、芥子、麻の実、青のり、青しそ(これが特徴で本当は八味) 混ぜ合わせてから、軽くすり鉢であたるという内容です。<o:p></o:p>

一般に、唐辛子、山椒、ごま、芥子、麻の実の5種類が基本のようで、東京に多い陳皮や焼唐辛子、青紫蘇、生姜など色々あります。(神田のまつやで薬研掘をちょっとかけた「もり」も美味しい)<o:p></o:p>

原了郭の黒七味のお味は清潔かつ鮮烈で古楽器の室内楽のようだ。(アナログ時代のSEONを思い出す)長文屋も室内楽だが、青紫蘇が入っており、厚みと八重奏の深みがあり力がある。どちらも好き好きだろう。なお、長文屋の一味も普通、辛目、激辛があり、ご主人は普通がまろやかで美味しいとのことだが、いつも辛目を買う。豚汁に入れると、普通の一味は脂と寄り添って美味しさが増すが、辛目はお互いに引き立ててデュオのジャズを聴いているような感じになり楽しい。小口切りの太いお葱が入るとトリオになり大層良く合う。<o:p></o:p>

山元麺蔵の欠点は麺の量が多すぎて、美味しそうな野菜天ぷらまで胃の容量がない。出来れば、野菜天ぷらをお酒で楽しんでから、一寸、小さく冷たいきつねうどんなど食べたいのだが無いものねだりだろうか。野菜天だけ楽しんで、隣の岡北で絶品の和風中華そばをはしごするのも良いかもしれない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

未曾有の不況は何だった:需給ギャップ

2009-06-14 08:08:59 | マクロ経済

この前まで、未曾有(みぞゆう)の不況の渦中(うずちゅう)にあると政治家がいっていたが、株価は日経平均が7,000円から10,000円で4割値上がりだ。<o:p></o:p>

 実体経済は、輸出の減少(海外需要の減少)と、その前の海外輸入価格の高騰でGDPのうち純輸出は減少したが大騒ぎするほどでもなかったのはこのブログで再三書いている。<o:p></o:p>

 いまは、心理の冷え込み、それに乗じた給与と所得の減少、右にならえと損失の計上による企業収益の悪化により「需要」が減ってる。つまりはGDPギャップが増大し、生産能力ほど売れないので、赤字になる(損益分岐点を割り込んでいる)様な状況だ。<o:p></o:p>

 特に、設備を抱える製造業、装置産業であるデパートなど赤字が問題となる。収益で評価される、不動産などは相応の価格調整があろう。<o:p></o:p>

 問題は、欧米でGMなどは倒産を公的資金でつないだ。波及倒産を未然に防いだのだが、アメリカ財政は更なる負債を抱えた。つまりは企業の負債を国家と債権者、株主が分け合った構造だ。比較するに、日本ではそのような何兆円もの事例は少ない。つまりは健全な金融である。金利も低いので、今こそ欧米企業を手に入れるべきであるし、資金をR&Dに投資すべきであろう。<o:p></o:p>

 欧米は確かに「未曾有」の不況である。日本は優位性を発揮し、まずは世の中を明るく、前向きにすべきだ。年金の財源を確保や、政治家世襲、官僚体制、郵政などの利権も国民の納得が得られる方針が切望される。<o:p></o:p>

 サブプライムは何だったのだろう。結局、Black Mondayと同じ経済システムの陥穽でしかなかった。利益を食んだのは、羽振りの良かった投資銀行のみだあったろう。取り逃げ防止の金融のモラルシステムこそ問題だ。<o:p></o:p>

 企業も特損を計上し、経費(人員、納入コスト 等)の見直しばかりではなく、前向きなものづくり、働く楽しみを考え欲しい。閉塞感は暗くなる。もっと愉快な雰囲気が欲しい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

春はドミ:はせがわの日替わりでキチンカツ

2009-06-13 07:42:15 | 食べ歩き

 テニスの後、空腹を抱えて府庁近くのお店に行ったらお休みで、久々にはせがわに。人気があり、15分ほど待つ。ハンバーグは良く食べているので、日替わりのチキンカツ大盛(700円+100円)を。チキンカツは塩っぱい。トマトソースがかかっているが、ピンと来なかった。驚くべきはご飯の美味しさ。甘みがあり粒が立っている。お味噌汁は麩で頼りない。やはりハンバーグでご飯を食べるのがお奨めだ。<o:p></o:p>

 相席をしない方針と禁煙は立派。お年を召されたご夫婦がお料理を分け合いながら、ほのぼのされてました。そんなお店です。<o:p></o:p>

 帰りに、出町のふたばで行列も少ないので愚妻の好物の水無月を。葛まんじゅうを自分用に。豆餅も。喉が渇いて、梨木神社のお水を。柔らかいお味です。そのまま、姉小路の平野屋で揚げたてのお揚げとお豆腐を。足が疲れました。そろそろ春から次のシリーズに<o:p></o:p>

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「幽霊屋敷」の文化史:加藤耕一 : 一部の人のみ、楽しい本です

2009-06-12 19:42:05 | 趣味

建築の博士の御本。 ディズニーのホーンテッド・マンションを軸に映像トリックや幽霊屋敷の歴史を書いてある。博覧会、展示、ディズニー・フリークには図面もあり楽しいが一般的ではなかろう。<o:p></o:p>

しかし、楽しめた。次作を期待する。ローラーコースターとスペースマウンテンでも書いてくれないかな。水族館の変遷なら協力しますが。<o:p></o:p>

そこから「見世物学」でもやってもらいたい。出雲の御国から初めて貰うとスケールが大きい。<o:p></o:p>

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

早稲田のキャンパスの麻薬事件:いつも開いている価値を

2009-06-11 20:41:37 | 都市計画

 報道によると休日に新宿区の早稲田本部のキャンパスで麻薬取引があったという。<o:p></o:p>

 早稲田のキャンパスは日本の大学にしては珍しく、門が無く「通り抜け」が出来る、地元密着型の大学だ。海外では、アイビーリーグのHarvardなどもそうだ。(カリフォルニアのスタンフォードとUSCなどはゴルフコースもあると聞く)何故かというと、キャンパスに図書館があること(年中ほぼ無休)、生活しているドミトリー、アパートなどもあることによる。<o:p></o:p>

 早稲田は周辺の街と一体化しており、門がない伝統は守って欲しい。囲い込んだり、カメラで監視するのはゲーテッドコミュニティといわれ、日本にも事例があるが、大学のやることではない。( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%86%E3%83%83%E3%83%89%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%83%86%E3%82%A3 )<o:p></o:p>

報道に対し前向きな対応方策として、学生による見回り、付近の自治会による監視、ボランティアによるイベント(何かやっていると犯罪組織は定着しないようである)など考えて欲しい。<o:p></o:p>

 また、物陰が多いからと言って、すぐにデザインを変えすぎるのも問題だろう。ボストンでもコプリー・スクエア(中心部の広場)は1969年にSasaki Associates が当選したコンペ作品であったが、物陰が多く犯罪の多発になったため、ボストン再開発局(BRA)がデザインを変えようとした。その時、「どうしてコンペに勝ったデザインをかえるのか」というSasaki Associatesの主張は誇りと根性を感じた。結局1984年につくり変えられたが。( http://www.archive.org/stream/copleysquarerede00bost/copleysquarerede00bost_djvu.txt )<o:p></o:p>

 地元と大学が一体化し、お互いに持ちつ持たれつだから良い地域が出来る。その循環を大事にすべきだ。京大の森見登美彦(朝日新聞夕刊連載中)や万城目学を見てみよう。如何に京都大学と周辺での学生生活が大事か分かる。<o:p></o:p>

 大学は、人を拒まず知識の殿堂だ。そこが開かれているのは知識を求めるものへの悦びである。また学生と地域にとって開かれた大学は街の活性化と「心のふるさと」になる。<o:p></o:p>

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

春はドミ:西天満 グリル光陽のヘレビーフカツレツ

2009-06-10 20:11:45 | 食べ歩き

 たまたま見かけて美味しそうなので入る。名物牛肉薄焼き(4枚)800円というのがお職のようで、焼いた肉と炒めたもやしをポン酢で食べるもの。もやし炒めを見ていると心斎橋のとん平の野菜炒め定食を思い出した。(35年の歴史があるそうです)<o:p></o:p>

 ドゥミグラス・ソース研究もあり、限定ヒレビーフカツレツ定食(1000円)にする。すぐに出てくる。どうやら軽く揚げたあとオーブンで調理してあるようだ。衣の端が少し焦げているがご愛嬌。5つに切り、一切れは切口を上にしている。ガルニは皮付きポテトベーコンとさやインゲンのグラッセ。ドゥミグラス・ソースは薄めで多めだがタレのような感じで旨味が少ない。マスタードがあれば良いかもしれない。あっさりと柔らかいお肉だが味わいも薄い。ポテトベーコンは脂が重なり重い。さっぱり口直しの酸っぱめコールスローが良いと思う。上品だが、洋食のときめきが感じられない。ご飯はお茶碗で、お汁は薄かった。御新香はありません。<o:p></o:p>

 キッチンに3人、ホールに2人と多いがお水はセルフサービス。繁盛しているので一度薄焼きをと思った。西天満の名物店であろう。ビフカツは難波新地のABCが今あればと想う。<o:p></o:p>

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「資本主義はなぜ自戒したのか 日本再生への提言」(中谷巌):So What?

2009-06-09 20:41:09 | マクロ経済

 話題の本である。「懺悔の書」で「転向」しているらしいがエッセイのようでまとまりがない。<o:p></o:p>

その上、P102 「素人が株で儲けようなんてもともと無理だよ。だって我々プロが上澄みをすくって~」と書いてあるのには驚いた。投資銀行の「デリヴァティヴ」のことか。短期的には「上澄み」例えば、CDS(破綻時保険)などで儲けられようが、今では積立問題で破綻に至った例も多い。筆者は経済・投資理論の理解がないと思われても仕方があるまい。<o:p></o:p>

投資銀行については、再度書くが、時間軸つけまわし(儲けるときに儲ける)の様であり、今回の破綻を見ると金融工学の破綻もあるが、「レバレッジ(人の金:OPM)」で稼ぐときに稼ぎ、破綻したら去るというモラル問題がある。 これは、限界税率の低下、ストックオプションの活用により課税回避策である。資本主義社会における焼畑農業か、ある種のコンゲーム(大掛かりな詐欺)みたいなものだ。 <o:p></o:p>

本著作では、唯一ブータンのGNHGross National Happiness)は面白い。だからどうするというのか提言・方策が欲しい。お奨めしません。<o:p></o:p>

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大丸心斎橋北店:渋谷109がお手本で街はどうなる

2009-06-08 20:25:22 | 都市開発

 渋谷の109のような品揃えで、地下も20代向けのフロアーにするという。心斎橋もいよいよ低年齢化で、梅田が大人になるのだろう。個店の輝きが失われている心斎橋(筋)であるが、これでいよいよ「渋谷化」となると飲食店以外訪れることもなかろう。 <o:p></o:p>

 心斎橋エリアは、北の丸善の閉店、心斎橋の老舗の課題などもありエリアの活力が失われている。今回の渋谷化は、ニューヨークの名物店FAOシュワルツ(色々な映画小説にも出てくる、当方も想い出が多い)がトイザラスに買収されたような感じだ。街の品格を是非保ってもらいたい。このままでは、ミナミは難波のコテコテ化と心斎橋のギャル化になる。このエリアの老舗の飲食店、物販店は本当に大阪の宝だ。大型店まかせでない街のマネージメントと再生が必要だろう。先ずは、老舗のプロモーションをして、回遊を増やし、看板を規制し、色を押さえ、カフェを増やし「穴場と和み」のある「街」を売り込むことだ。これは大丸にとってもメリットがある。梅田が地下街と箱物としたら、心斎橋は路地が楽しい。企画の知恵なら出したい街と思っている。<o:p></o:p>

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

どうなる京都駅南VINOWA

2009-06-07 07:24:44 | 都市開発

 ファンドでディベロッパーのジョイント・コーポレーションが破綻した。この開発については、数年前とある方から意見を求められた。 MIDの所有でテニスコートのあったところで開発課題は<o:p></o:p>

     近接する南北交通が渋滞気味(JRをアンダーパス、ブリッジで渡る)<o:p></o:p>

     京都駅、JRが南北のエッジとなり商圏が分断<o:p></o:p>

     マストラ(JR、京都市営地下鉄、バス)から若干距離がある<o:p></o:p>

があり、広域商圏で競合の無い、大型GMSだと可能性があると思われた(天王寺のイトーヨーカドーと同じようなもの)が、SCでは個々のテナント誘致が難航すると感じた。<o:p></o:p>

もともと、昨年秋の竣工が1年延びている。売場面積は1.5万坪であり、1万円/坪としても年間18億円の減収(機会費用)となる。この開店延期により更に景気の低迷時期にあたった。駅の北のヨドバシカメラは着工したと聞く。VINOWAも事業の引継ぎなど行い、京都駅周辺の商業活性化を願う。<o:p></o:p>

なお、設計・施工とも清水建設によるものでなかなか凝ったデザインである。大階段に早くお客様を迎えしたいものだろう。<o:p></o:p>

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大阪カレー:どい亭、辛口料理ハチ

2009-06-06 14:16:07 | 食べ歩き

 辛いものは得意で、タバスコ半分くらいはどうでもない。極端な大盛は苦手で、食べ放題はもっと苦手だ。<o:p></o:p>

初めて、どい亭でビーフカレー(750円)を頂きました。先ずはキャベツのサラダが。次に煮込まれた肉5枚が乗ったカレーが福神漬けとらっきょ(少量)を従えて登場。カレーソースは粘りがあり、スパイスも感じる、お肉も柔らかいが味わいがいまひとつ。すいすい食べたら数分で空に。あらら。量もなあ。小麦粉焦がしの粘りカレーはどうも。野菜で粘りがあるデリーのコルマカレーの深い味わい、そして取り放題の玉ねぎと胡瓜に思いを馳せる。<o:p></o:p>

 暑くもなり、辛いハチへ。久々です。常連の庭球大盛大辛王(以下長いので庭大王)とご同行願いました。庭大王はテニスの達人で大盛かつ激辛ハンターです。当方は大人しく「ご飯少ない目」で人参(丼の4割は頂きました)とともに、ルーもどんどん追加して完食でした(900円)。辛さは特に感じませんでした。(グローブと辛子が入っているのこと)ルーのみを味わいますと素直で、玉ねぎか果実(リンゴ、バナナ かな)の甘みと酸味、そして香辛料を感じました。恐らく、一旦ブレンダーにかけ、シノワで漉しているのでしょう。癖のないルーを癖のある筋肉(すじにく)に絡ませて独特の味わいがあるように思います。悔しいことに庭大王に先に完食されてしまいました。辛いカレーと位置付けがありますが、味わい自体に奥深いものがあります。<o:p></o:p>

 なお、人参のお酢が染みたご飯も楽しめました。できれば、前述の酢漬け胡瓜(と辛い玉ねぎ)が欲しいところです。キャベツを炒めて一緒にして、「夢眠」のようにしても美味しいだろうと想像します。<o:p></o:p>

 大阪のカレーの有名どころは粘っこいほうから、インデアン、(昔の)ピッコロ、ハチ、南蛮亭、カシミールのような順番ですが、最近はさらさらが美味しいと感じます。ハチはこの中でも実はバランスの取れたカレーでご飯も丁寧なお味です。おばちゃんを応援致します。<o:p></o:p>

(余談: 辛いもので完飲できなかったのは岡崎にある龍門の「水煮牛肉麺」だ。先ずは脂・油が厚く、更に地雷のような唐辛子と土石流のようなとろみのあるお汁と更なるチリパウダー・中華香辛料は凄い。庭大王にもお奨めしています) <o:p></o:p>

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

GM(4):ソローン、思い出

2009-06-05 20:39:53 | マクロ経済

90年代に Alfred PSloan, Jr.の関係する学校を卒業した。アメリカは製造業に競争力強化に乗り出したころで、「Japan as No1」が出された時代だ。トヨタの生産手法である「カイゼン」、JITJust in Time)などが席巻しており、高名な Michael A. Cusumano 教授( http://web.mit.edu/cusumano/www/ )も「日本的生産」を教えていた。レスター・サローが次はEUの時代だといっていた頃だ。当時の学友にはGMIBMの方が多く、流石にアメリカの大企業は国内留学生が多いと感心したものであった。GMの方は愛想が良く、そつない紳士・淑女であった。しかし一度、春に冬の汚れを取るべく学部横のアパートでホンダシビックを洗車していると GMからの方から吃驚するほど冷たい目で見られ、その二面性に驚いた。そのとき、アメリカにもクラスがあること、インターナショナルの壁を感じた。<o:p></o:p>

GMの今の本社があるルネッサンス・センター(ジョン・ポートマン1977 http://www.portmanusa.com/ )も当時は荒廃した都心の再開発(だから「ルネッサンス」、ピープルムーバーも有名)として複合開発で最先端であった。20年間の経済変動に思いを寄せる。<o:p></o:p>

GMのもともとの本社は前面に4棟が分節し後ろに控える棟で繋がるビルだ。( http://www.nps.gov/history/Nr/travel/detroit/d30.htm http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:General_Motors_building_089833pv.jpg )良く言われたのは「GM14階は何も知らない」という表現で、高い階に経営層が陣取っていたらしい。またこの分節した棟毎に機能分化していたのかもしれない。もちろんホワイトカラーとブルーカラーの交流など無かったと聞く。当時学校でのお話しで、日本の製造業の方が「ホワイトもブルーも無い、一緒に昼飯を食べる」というと唖然された。当時のアメリカの製造過程の実情は“Throw over the Brick Wall”(煉瓦壁の向こうに放り投げる)というので、出来たものは次の工程に渡せばよいいう「手離れ」と「お任せ」文化であった。ホワイトカラーも工程間を管理する立場も権限も規程されていなかったのだろう。「自分の持分を最高に」というのと「みんなで作ろう」とは大いに違った。<o:p></o:p>

GMは商品の作りこみ(小型車が作れない)というのと品質が良くなかった(トヨタにおいつかなかった)と両方の論があるが、両方正しく、しかも労働コストの先送りの年金問題はChapter 11でも明確ではない。年金と再生同意を調整したのかもしれない。歴史に挑むのは大変である。<o:p></o:p>

愚妻とあのころのGMを知っていると、まさかいまの破綻になるとは信じられないと話している。握手したケン・オルセンのDEC、大学近くのPolaroidなども変わってしまった。エコで自動車離れと車寿命の長期化及びコンパクト・シティ(都心居住)となるとトヨタも安泰ではあるまい。次は日本の製造業が変化する時代が来るだろう。一体化した従業員という日本の製造業の強みも、派遣や転職などで気がつくと弱っている。きちんと動く製品を作るのは大変なのだ。クレームに対応するマンパワーより、自信がありものづくりの喜びのある製造業がないと経済成長は無い。<o:p></o:p>

GMは歴史の重み、つまりは経営層の官僚化、先送りの社員の福祉政策、自身が作り出した重要顧客の嗜好により時流と乖離しついに破綻したのではなかろうか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

GM(3):ラインアップ、ジェミニ

2009-06-04 20:47:24 | マクロ経済

 乗ったことがあるGM系というとジェミニしかない。1980年ごろでいすずブランドであった。もとはヨーロッパGM(オペル)でディーゼル(いすずのお得意:いすずは117クーペ(ジュージャロ)、フローリアンとおなじフロアパン:プラットフォームが有名)しか思い浮かばない。<o:p></o:p>

 ドイツにはオペル、イギリスにはヴォクスホール、オーストラリアにはホールデンがあった。オペルはGMワールドカー戦略独自のフロアパンやエンジンを開発し、後期のSAABも中身はオペルであった。(デザイナーに児玉英雄さんがいらしたな、スポーツカーのGTも記憶に残る)<o:p></o:p>

 GMは一時世界戦略として、いすずやスズキの資本提携もしていた。今回、オペルは別資本となるようだ。オペルのデザインをアメリカに逆輸入できなくなるくらい、自社で「アメリカ車文化」を確立させてしまったのが皮肉である。<o:p></o:p>

また、毎年、モデルチェンジと称した、意味があるのかというスタイリングの「小変更」はなんでかなと思った。この点、ヨーロッパは10年近くのフルモデルチェンジまでいじらないのでたいしたものだと感心した。<o:p></o:p>

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

GM(2):スタイリングとビル・ミッチェル

2009-06-03 20:09:24 | マクロ経済

GMといえば毎年のモデルチェンジとスタイリングである。スタイリングの名作の代表例はスティングレイ(1963)であろう。一般にスタイリングというと「形」を指し、デザインというと「機能美」を言う。GMのはスタイリングである。パッケージング・デザインというより、スタイリング優先のため、車も大きく、オーバーハング大きく、室内は狭いという記憶がある。テールフィン(スプートニクの影響)なども一世風靡のスタイリングだったが、今なら、重いこと、(余程の高速でないと)空力に影響がないこと、安全上(視界、対人事故 等)に問題があることで受け入れられないだろう。(大体、今のトヨタ Priusの低い空気抵抗係数と前後軸の空力安定を見ると、スーパーコンピューターか風洞による合理的デザインの素晴らしさが分かろうものだ)<o:p></o:p>

ショーモデルで1959年のFirebird Ⅲ( http://en.wikipedia.org/wiki/General_Motors_Firebird )など、どう見てもF104ジェット戦闘機のようだ。これはガス・タービンエンジンだそうだが、外燃機関であり(蒸気機関車と同じ)、レスポンスが悪く実用にならなかったそうだ。それにしてもここまで夢があるのは素晴らしい。<o:p></o:p>

生産車の白眉は、ビル・ミッチェルである。あのスティングレイのデザインは昔の未来のようでなんとも良い。リトラクタブル・ライトが格好よく、フェンダーのエッジも素敵だ。(余談:オペルGTもリトラクタブルライトであるが、これは縦回転(X軸)という珍しいものだった)<o:p></o:p>

見る分にはなんともいえない。ビル・ミッチェルについては三栄書房の「Car Styling」で読んで、ラリー・シノダあたりの記憶もある。トヨタがカルティのデザインセンターを作ったのも、GMスタイリングの影響であろう。ヨーロッパの車がミニ、ビートル、フィアット128のようにパッケージングからの発想であるとしたら、アメリカは大型で見栄えという感じがした。スティングレイはスポーツカーであり、あまり大きくもできず密度の上がった仕上がりになったのだろう。しかし、年少の頃、アメリカ車のスタイリングには心ときめくものがあり、それにならった、トヨタの初代セリカや三菱ギャランGTOなども記憶に残る。<o:p></o:p>

あのころアメリカ車のスタイリングは排気量、幅、長さとともに輝いていた。<o:p></o:p>

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

GM(1):GMとともに

2009-06-02 21:02:23 | マクロ経済

GMの破綻を受け、連載します。最後に当方とGMの関わりがあります。

Alfred PSloan, Jr.といえばGM中興の祖だ。モデルチェンジとフルライン(時間と種別)のマーケティングでGMを大きくした。その後、ずっとアメリカのブルーチップ(優良会社)であり、「GMにとって良いことはアメリカにとって良いことだ」(「レッドムーン・ショック」にもとGM社長のウィルソン国防長官の発言とある)とまで言った歴史もある。(似通った冗談だがテキサス人の小話があり「テキサスは大きい、アメリカより大きい」というのがある)<o:p></o:p>

 モデルチェンジとフルラインの成功体験は1950年代のモータリゼーションにより更に強固になったが、この「自動車ばなれ(量の減少)」と「小型車志向(質の転換)」について行けず、最後まで大型で利益率の高い車に固執せざるを得なかったのは教訓である。<o:p></o:p>

 次に、古い歴史と77年年間も世界首位に裏打ちされた実績が高い年金(負債の将来化)を積み重ねた。GMというブルーチップの企業としての位置づけが会社機構を内部から疲弊させるという現象を呼んだのではないか。<o:p></o:p>

 失敗体験として1960年にフォルクスワーゲンビートルとポルシェ911にならった革新的なリアエンジンのコルベアを発売したが、サスペンション技術が伴わず、欠陥車騒動に発展したのがトラウマになり、以降はいよいよ保守的さが増した感を受ける。(このコルベアもきちんと作れば名車となったろうに。クライスラーのエアフロー、トヨタのスピンドルシェイプ・クラウンなどと並ぶ、革新過ぎた「問題作」である)その反動でかいよいよ保守的に転向し、前輪駆動(FWD)も当初はキャデラック(大きく重いので)くらいしか無かった。<o:p></o:p>

  今回のGMの破綻は車が売れなくなったこともあろうが、1978年の955万台をピークに、今もそれほど低下していない。問題は「需給ギャップ」で生産設備の過剰、人件費・保険・年金コストの増大、商品の陳腐化(儲かる大型車とSUV偏重)は明らかだ。社会とともにGMも「歳をとった」のであろう。老舗の料亭は、いくら古い、高い、時代遅れだといわれても、贔屓のお客(こちらも歳をとる)のために変えられないというのと同じだ。<o:p></o:p>

 その反対に昔のGMは凄かった。未来志向の1939年のニューヨーク博覧会でフューチャーラマ(Futurama)  http://morrischia.com/david/portfolio/boozy/research/futurama.html )   が高名で、ディズニーのシナリオ型ライド(移動するシートで色々な展示が展開するもの)のおおもととなった。この中でGM1960年にautomated highway systemができるとある。高速道路と郊外大型開発(高層建築と緑)が輝かしく描かれている。( http://www.youtube.com/watch?v=74cO9X4NMb4 は貴重な映像です 映像の最後にGMと出るのが印象的です)<o:p></o:p>

 成長するアメリカと今のアメリカの対比を感じます。これがGMの力だったのでしょう。<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

(追記:アメリカでは、シカゴ コロンバス博覧会(1893)も古典的で記念碑的である。http://en.wikipedia.org/wiki/World's_Columbian_Exposition そのうち書こう)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コンビニの地産地消はナショナル・チェーンの多様化か

2009-06-01 21:12:17 | マクロ経済

セブン・イレブンの方に、「ちちんぷいぷい弁当」(関西限定 695円)を紹介頂きました。関西の地場の食材を、人気番組とタイアップした調理で売れ行きが上々とのことです。当方は、大阪では水了軒の八角弁当(1,100円)と赤飯弁当(1,050円)が好きですが、このお弁当も煮物が多く味がつけられているのが同じです。

 さらにナショナル・チェーンが地域別に多様化していく方向性が感じられます。今後は、どこでも同じの箱物を扱う専門大店(電気、玩具等)、均一なメニューを扱うファストフード(マクドナルド、吉野家 等)が主体でしたが、今後は蛍光灯の取替えなど小回りのきく街の小売店や顔馴染みの定食屋が見直されて来ています。特に、物販は箱物(コモディティ)はネットで、通販で、宅配でと多様化しています。

サービスの特色は「その時」、「その場」という特性がありネットで買えないものである。(冷凍食品などは除くが)例えば、家事の代替、商品選択・試着などがある。今後のコンビニやデパートがサービス業として機能発揮を願う。コンビニは街の利便であるとすると、デパートは実際に手にとって選べる博覧会である。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする