金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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70:堀米薫 『チョコレートと青い空』

2012-06-29 22:51:17 | 12 本の感想
堀米薫『チョコレートと青い空 (ホップステップキッズ!)』(そうえん社)
★★★☆☆

農業を営む「ぼく」の家に、研修生のエリックさんがやってきた。
エリックさんがガーナ出身だと聞いて、
チョコレートをもらえるのではないかと期待する妹。
ところが、エリックさんは大人になるまで
チョコレートを食べたことがなかったという。
低賃金でカカオを割る仕事をしながら、
チョコレートを口にしたことがない子どもが
ガーナにはたくさんいるというのだ。
小学生の「ぼく」と幼い妹、そして反抗期真っ盛りの兄は、
エリックさんとの出会いによって変わっていく。

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今年の小学校中学年の読書感想文コンクール課題図書。

この本を取り上げるとアクセス数がアップするのがわかっているので
先に書いておきますが……
読書感想文の役に立つことは、このブログには一切書いてありませんよ!

課題図書には「○○枠」というのが設定されてるよね~と思うんだけど、
今年の「社会問題枠」はこの本。
農業の後継者問題や食糧自給率の問題、貧困と南北問題……と
さまざまな問題にそれとなく触れていて、テーマ性で言えば
今年の中学年の課題図書の中ではいちばん書きやすいのでは?
ただし、「書きやすい」というのは大人の視点で見たときの話。
すごくいい話なんだけど、小学校3・4年生にとっては、
前提となる経済や社会構造に関する知識やイメージがないので
この本を読んだだけでは、食糧自給率も貧困も格差も、
リアリティを持った問題として受け止められないのではないかしら。
自分の生活に引き付けて考えることが難しく、
大人の誘導がないと「かわいそう」とか「大変だ」とか
他人事の感想しか出てこなさそう。
5・6年生くらいになって、ようやく少し理解できるようになるのかも……
という内容。


コメント
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