ジェイン・オースティン『高慢と偏見(下)』(光文社古典新訳文庫)
★★★★☆
ダーシーからの求愛、そして彼からの手紙につづられた、
心寄せていた相手ウィッカムの過去に動揺するエリザベス。
叔父と叔母に連れられて遠出をしたエリザベスは、
ダーシーの邸を訪れることになり、彼と再会。
彼の庭を目にし、使用人の彼に対する賞賛を耳にして、
ダーシーに対する評価は揺らぐ。
そんな中、末の妹のリディアがウィッカムと駆け落ちしたという
知らせが届き……
****************************************
「いやなヤツだと思ってたのに……ドキッ☆」
みたいな、昔の少女漫画的評価の転換が実体験としてないので、
エリザベスがダーシーをすばらしい人物だと思い始めるあたりに
しっくりこないものを感じるな。
自分に恋している相手に好意を持つのも、
損害を被っても自分の家族のためにあれこれ取り計らってくれた
彼に恩義を感じるのもわかるけど、
過去の言動は、それはそれとして別だよね。
知性的で客観的判断を下せるはずのエリザベスが、
これまでの一切を帳消しにしてダーシーを持ち上げ始めたのに
ポカーンとしちゃったけど、
主観と客観が一緒になっちゃうあたり、「恋は盲目」なんだろうか。
品がなくあつかましい母親に、はしたなく軽率な妹、
家族を愛しながらも母や妹を恥じるジェインとエリザベス、
ユーモアに満ちた言動を見せながらも
妻を軽んじ妹たちを辛辣な目で見る父親。
愛情があること前提でありながらも、
この家族の関係を容赦なく描いているのはおもしろい。
『ブリジット・ジョーンズの日記』がこれを下敷きにしているなんて、
言われて初めて気づいたよ。
★★★★☆
ダーシーからの求愛、そして彼からの手紙につづられた、
心寄せていた相手ウィッカムの過去に動揺するエリザベス。
叔父と叔母に連れられて遠出をしたエリザベスは、
ダーシーの邸を訪れることになり、彼と再会。
彼の庭を目にし、使用人の彼に対する賞賛を耳にして、
ダーシーに対する評価は揺らぐ。
そんな中、末の妹のリディアがウィッカムと駆け落ちしたという
知らせが届き……
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「いやなヤツだと思ってたのに……ドキッ☆」
みたいな、昔の少女漫画的評価の転換が実体験としてないので、
エリザベスがダーシーをすばらしい人物だと思い始めるあたりに
しっくりこないものを感じるな。
自分に恋している相手に好意を持つのも、
損害を被っても自分の家族のためにあれこれ取り計らってくれた
彼に恩義を感じるのもわかるけど、
過去の言動は、それはそれとして別だよね。
知性的で客観的判断を下せるはずのエリザベスが、
これまでの一切を帳消しにしてダーシーを持ち上げ始めたのに
ポカーンとしちゃったけど、
主観と客観が一緒になっちゃうあたり、「恋は盲目」なんだろうか。
品がなくあつかましい母親に、はしたなく軽率な妹、
家族を愛しながらも母や妹を恥じるジェインとエリザベス、
ユーモアに満ちた言動を見せながらも
妻を軽んじ妹たちを辛辣な目で見る父親。
愛情があること前提でありながらも、
この家族の関係を容赦なく描いているのはおもしろい。
『ブリジット・ジョーンズの日記』がこれを下敷きにしているなんて、
言われて初めて気づいたよ。