ところが、TVなどで頻回に医療関係者が出演して「水分だけではなく塩分も摂取するよう」コメントしている。TVの力とは大きいものだ。外来の患者さんも「そうそう、塩分が重要なのはTVで何回も聞きましたよ」といわれる。「先生、私は血圧高いですが、熱中症こわいので塩分制限はしなくてもいいですよね?」といわれると、こちらも返答に窮するのである。患者さんにとっては塩分を制限するのか、あるいは逆に塩分をたくさん取るかの二者択一の指示でないとわかりにくいのである。「適度に制限はしましょうね」というのでは患者さんも困るであろう。かといって腎不全、心不全の患者さんのように1日食塩は○g以内にして、水分は体重が○○kgだから不感蒸泄を1日900mlと計算して・・・結局、1日水分量は○○mlにしてください・・・などと指示を出すのもこれまた大仰である。結局のところはスポーツドリンクかNa含有量の多いOS-1を飲むようにしてくださいというのが簡単であるのだが。