おそらくこれから彼の障害を認定して書類を記載した医師の責任問題も追及されるかもしれない。またこの事件を契機におそらくは聴覚障害の認定審査も厳しくなるかもしれない。一番困るのはこのことである。本来認定を急ぐような聴覚障害を持った方の認定が遅れたり、認定からはじかれたりするようになったらいけない。将来、福祉サービスの必要な人たちに対して大きな制限となるかもしれないことは、この事件がかなり根の深いところにまで及んでいる証左なのである。耳が聞こえるかどうかは自身の演技でどうにでもなる。その演技で身体障害者2級がとれるまでに至るとは診断した医師の認定能力の検証も迫られるかもしれない。いつも世の中では客観的に判断する根拠として引き合いに出されるのが医師の診断書である。しかしながらこの書類の正確性にメスが入ったなら、今後世の中の医師は自己防衛のために100%わかっていること以外は診断書に記載しないようになる。このようになるといろいろな社会生活上で不利益も出てくるのである。やはりこの事件が投げかけた波紋は大きい。<o:p></o:p>