廃墟と化した立ち入り禁止の街は、まさに自然界であり放置された動物は今後死滅するか、あるいはもし生き残れる遺伝子を持ったものは、代を変えるごとに「凶暴化」への道をたどるであろう。それはあの小笠原の前例で証明されているのだ。もちろん人間社会の再構築や避難住民の生活再建が最優先であることは言うまでもない。そんな放置されたペットの行く末を心配するのは優先順位が違う、本末転倒であると言われそうである。しかしながら最近のペットブームである。朝夕の犬の散歩をしている人をみるとかなり多くの家庭で動物が飼われていることに気が付く。時々散歩している犬がジョギングしている人に突然吠え付くのをみると、これを制しない飼い主もさることながら愛玩用とはいえ、垣間見えたその内在する「野生」というものに少しばかりの不安を覚えるのである。もし今後東京に直下型大地震が来て避難所にペットが持ち込めなくなったらどうするのであろうか? 飼い主はそこまで腹をくくって飼育をされているのだろうか? まさか終戦間際の殺処分などという事態には陥らないとは思うが、非常事態であればそれもあながちあり得ない話ではないと思うのだが。<o:p></o:p>