吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

転送患者さん その1

2016年06月03日 05時58分37秒 | 日記
 前項の救急患者で思い出した。
 以前、出先でめまいが起こり、上腹部痛を訴える患者さんがこられた。

 来た時は、上腹部痛(いわゆる胃痛)があり、冷汗をかいて顔色不良、血圧は88/60mmHgでショック状態である。熱はない。さて救急医療関係者なら、すぐにピンとくるはずである。

 真っ先に考えなくてはならない疾患・・・それは急性心筋梗塞(下壁梗塞)によるショックである。
 これは緊急性は高い。すぐに大きな病院にて精査と集中治療を必要とする。

 まず最初に転送先を考えながら心電図をとった。えっ、あれ? 下壁梗塞の特徴的所見であるⅡ、Ⅲ、aVf のST変化はさほど強くない・・・(ひいき目にみれば少し上昇してるかも?といった程度)。

 一瞬、大きな病院への転送への気持ちが揺らいだ。・・・しかしながらとりあえずはショック状態ではある。開業医レベルの状態ではない。患者さんは少し症状が軽快したのか
「転院するんですか・・・? 救急車に乗るの?・・」とやや怪訝そう。
 さてさてどうしよう・・・。