史談会の友人N君に頼まれて落札した文書がなかなか面白い。河口勝太なる人物が佐田道之助という人に宛てた書状だが、内容が中々ユニークである。
その中の一節‥・・・・
残暑未退キ不申其上私邊者鄙巷ニ而昼者苦蒼蠅
夜者責蚤蚊誠ニ夏秋者苦シキ事ニ而御座候
然ニ貴殿者或者従舟又者茶屋ニ行名所舊跡等も
御見物誠ニ以御羨敷御事ニ而御座候
私どもハ井之中の小魚ニ而御座候間一入羨敷御座候
二人の名前が細川家侍帳には見えないことから、どうやら米田家に仕える陪臣であろうと思われる。
それゆえか、文面もざっくばらんなところがあり、読んでいて思わず笑ってしまった。
大意は
未だ残暑が厳しい中私が住むあたりは田舎にて昼はあお蠅に苦しみ
夜は蚤や蚊に苦しめられ夏も秋も苦しい事です
貴方は舟にて茶屋や名所旧跡を見物されるなどうらやましい限りです。
私どもは「井の中の小魚」ですからひとしお羨ましく存じます。
公式文書は形式ばった挨拶などで面白くもなんともないが、今後もこんな文書に出会いたいものだと感じたことであった。