かつてフリージャズの有力レーベルであったESPが、最近また活発になっている。バートン・グリーンだとかチャールズ・タイラーだとかパティ・ウォーターズだとか、あまり売れそうもない録音を再発したりしている。このDVD、『INSIDE OUT IN THE OPEN』(アラン・ロス、2001年)も、あきらかにウケ狙いではない。
1時間程度のドキュメンタリーだが、作品としてさほど素晴らしいものには思えない。それでも、ESP馴染みの「昔の顔」が次々に出てきて、少々興奮してしまう。
ジョセフ・ジャーマンは、インプロヴィゼーションにあたって「自分を消去すること」を説く。アラン・シルヴァは、演奏を通じて「オリジナルな自分」になることが如何に難しいかと言う。バートン・グリーンは、60年代を回顧しつつ、皆、インプロヴィゼーションによって「ブレイキング・ポイント」を模索していたのだと言う。ウィリアム・パーカーは、インプロヴィゼーションの無意識性について笑いながら示唆する(意識的に演奏するタイプに見えていたのだが)。ざっくり言って、誰もがフリージャズの精神論ばかりを口にしている。ただ、これはこれで面白い。
日本で観ることができないでいる、ジョン・チカイのソロを聴くことができるのは嬉しい。