高知市内に現存する、100室からなる巨大マンション。高層ではなく、ワンルームもさほど多くない建物で100室はすごい。それが何と、殆どを素人の夫婦2人で建設してしまったと言うのだから恐れ入る。いかなる人がいかに造ったのか。本書で、建設者の人生とマンションの構造が判る。マンションの構造については他にも本があるのでそちらを読めと言うことか、写真も口絵2ページしかなく残念。図解よりも伝記が中心の本なのだと納得せざるを得ない。
ともかく、ご夫婦そろって常識外れの傑物であることは間違いない。人間、高等教育や専門教育など受けなくともこれだけのことを成し得ると言う好例かもしれないが、極端な例であって普遍的にはまずムリであろう…。きっとこの本の感想文の多くはご夫婦の行動力に驚かされた、感動したというものが大半ではないか。勿論それはそうだ。だが書き加えると「こんな人生まっぴら御免」だ。高知だと「後免」か?「100室のアパートを建てる」のが夢であり、同時に趣味であるから人生の大半を費やしても満足なのだろう。そうしながらもバスを買ってキャンピングカー風に改装して家族旅行に出かけているので全く息抜きが無いわけでもなさそうだ。だが自分には、あまりに一点にしがみつき過ぎているように映った。能力なき者のヒガミかもしれない。
とは言え建物には興味ある。過去に高知市を訪問しておきながら見ていなかったのが悔やまれる。既にご主人は亡くなられて久しいが建物は健在。高知へ行く機会があったら視てみたい。
2015年8月30日 カラオケ帰りの電車車中にて読了