日々のつれづれ(5代目)

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【本】アレックス・カー/清野由美著 「観光亡国論」(中公新書ラクレ)

2019-07-11 06:35:48 | 本・映画・展覧会
 ここ数年のインバウンドブームとは無関係に、もう30年ほども前に日本の古民家を買い拠点としたカー氏。清野氏と共著で、日本に限らず世界中の観光地における問題点を指摘し、解決策を提議した。イマ風に言えば「サスティナブルな観光」となろうか。

 ネガ面の指摘は大抵の人が理解できるだろう。京都の混雑ぶり、ゴミ問題、ヤミ民泊など。とは言え観光はいまや一大産業であるから、観光客を排斥するという選択はあり得ない。

 著者達の提案は「いかに地域や環境へのインパクトを抑えつつ、従来並み以上の観光収入を得るか」と言う現実的な提案なのは好ましい。例えば富士山の入山料を義務化(現在は任意)し金額も1万とか大幅に引き上げるという案は大賛成。「貧乏人は来るなと言うことか」と言う人は居るだろうが、そういう人は富士登山にその金額ほどの価値を見出していないのだ。道中の山小屋の猛反発が目に浮かぶ。

 石見銀山は敢えて離れた場所に駐車場を設け、3km近いアプローチから歴史を歩かせろという提案は今の自分なら賛同できるが、残念ながら本書ではユニバーサルアクセスに関してまでは伸べられていない。

 寺社だけでなく博物館の企画展示なども、時間制入場にしてもっとゆっくり観られるようにという提案は直ぐに採用可能。実際に「ジブリの森」ではしている。「なるべく多くの人に」と言う博愛主義的発想を捨てられるかどうかだけだ。

 2019年6月25日 通勤電車にて読了
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