埼玉の川口や蕨あたりには在日クルド人のコミュニティがあると言う。江戸川区あたりにインド人コミュニティがあるのと同様、同胞が同胞を呼ぶのだろう。ところでクルド人ってご存知?民族ではあるが祖国はない。迫害の歴史を持ち、在日クルド人の大半は「難民」である。
そのクルド人の一家族を描いたのが本作、難民認定申請を待ちながら解体作業員として働く父。母は既に亡く、子供3人は日本の学校に通い、苦しい生活ながらも何とか生きている。ところが父の難民認定申請が却下されたことで在留許可証は無効となり、就労は不可となるため生活はあっという間に行き詰まる…
ロシアの侵攻によりウクライナから避難してきたウクライナ人の受け入れには賛同したいが、同時に「なぜ彼等だけが」と思っていた。その理由がまさに本作にある。日本にはクルド人ほかミャンマー、中東アフリカ諸国からも難民とされる人々が在留し、難民認定申請を行っているが認められるケースは極めて少ないことは世界でも異例なほど。彼らを収容している入国管理施設の維持経費もバカにならないはず。
本作で観客は「難民に冷たい国ニッポン」の現実を突きつけられ、入管政策の島国根性ぶりを曝け出されいたたまれない。「偽装難民がいるから」と言う理屈がどこまで通用するのか、どうしたら変えられるのか考えるべきなのは明白ではないのだろうか。
2022年5月8日 川崎・チネチッタにて
そのクルド人の一家族を描いたのが本作、難民認定申請を待ちながら解体作業員として働く父。母は既に亡く、子供3人は日本の学校に通い、苦しい生活ながらも何とか生きている。ところが父の難民認定申請が却下されたことで在留許可証は無効となり、就労は不可となるため生活はあっという間に行き詰まる…
ロシアの侵攻によりウクライナから避難してきたウクライナ人の受け入れには賛同したいが、同時に「なぜ彼等だけが」と思っていた。その理由がまさに本作にある。日本にはクルド人ほかミャンマー、中東アフリカ諸国からも難民とされる人々が在留し、難民認定申請を行っているが認められるケースは極めて少ないことは世界でも異例なほど。彼らを収容している入国管理施設の維持経費もバカにならないはず。
本作で観客は「難民に冷たい国ニッポン」の現実を突きつけられ、入管政策の島国根性ぶりを曝け出されいたたまれない。「偽装難民がいるから」と言う理屈がどこまで通用するのか、どうしたら変えられるのか考えるべきなのは明白ではないのだろうか。
2022年5月8日 川崎・チネチッタにて