パッと見は水墨画のよう、だけどもっとシャープで、その表現は正しくないと自分を戒めた。ネガを透かして見た時の陰影をイメージした方が、その細部までの描写力や鋭い線の表現がされている作品を表すのに相応しいのではないか。そう見えるのは、通常の印画紙ではなく越前和紙それも人間国宝の手によるものにプリントされていることが大きい。
叢(くさむら)へ、とのタイトル通り、被写体はなんだかそこら中にあるような、と言うのは百も承知だが、の草むら。それにレンズを向け適当に撮ったように見える作品が延々と並ぶ。よくよく見ているうちに、手前の葉、大きな枝、それらをどのように画面の中に配置しようかと作者が考えたのか気になってくる。1枚でも成り立つような、たくさんあるからこそ成り立つような、曖昧な感想になってしまった。
2024年4月20日 新宿・OM SYSTEM GALLERYにて