日々のつれづれ(5代目)

旅行レポート以外の、細々としたこと。
割とまめに書くようにしています。
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【本】野口悠紀雄著 「どうすれば日本人の賃金は上がるのか」(日経プレミアシリーズ)

2024-05-27 20:00:00 | 本・映画・展覧会

 著者を知ったのは「超」整理法を読んだ時だったと思う。調べてみたら1993年刊行だったので、30年以上も前。以来「超」シリーズですっかりおなじみになった感があるが、それが逆にマンネリ感を呼ぶ気がしている。

 久しぶりに読んだ著者の本、書いてある「理由」はもっとも。特に生産性が低い部分については著者の得意分野のはずなので、本書のテーマは著者向きだと思える。生産性が低いのは、個々の消費者もしくはユーザーの要求に合わせ、作業の万全を期すための裏返しであるようにも思えるのだが…。

 一方で著者が「学者」だなあと感じたのは、原因の究明追求に大半の頁を割き、ではどうすればと言う対策についての言及が少ない点。そこは現場の方々や為政者の仕事、具体的な部分は様々なので私は原則論しか申し上げられないと言うことなのだろうが、何十年も日本社会をウォッチし続けてきたベテランの言としては物足りないのではないか。

 2024年5月12日 JL634便(熊本→東京)機中にて読了

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【本】小川幸司著 「世界史とは何か-「歴史実践」のために」(岩波新書)

2024-05-27 06:00:00 | 本・映画・展覧会

 校長から(不祥事とかでなく)一般教員に降格して現場で教えることを選んだ著者による、世界史の考え方、教え方。別の著者と協働の三部作となっているようで、本書はその最終作に当るためチョイスを誤ったかもしれない。

 とにかく解りにくい。ただ単に年号と出来事を覚えるのではなく、一つのできごとを一面からの「史実」を鵜呑みにするのでなく多面的に見ること、そしてその背景、現代とのつながり(その結果が現代にどう影響を及ぼしているか)まで考えるまでが「世界史」の範疇だと定義されているように理解した。そこは大いに結構。暗記でなく考えること、間違いなく必要で、ただし受験勉強とは正反対の方向になるのではないか。

 そうした論旨を詳説する部分が小難しい。故事を引っ張り出したり引用したり博識なのは結構だが、そこまで裏付けや説明がないと納得しない人がいるのか。いるのかもしれないな。自分は「けっきょく何なの?」とページを飛ばしたい衝動を抑えるのに懸命だったが。だがそういう者は「結論を急ぎ過ぎる」と諫められるかもしれない。

 内容には共感できそうだったが、方法論的には今一つの感がした。

 2024年5月11日 ソウル地下鉄の車内にて読了

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