「ラスト・チャイルド」(上)(下)ジョン・ハート
人気作品だけあって面白かった。
13歳の少年が主人公。
双子の妹が誘拐されその1年後、って設定。
ゆったりした導入、途中で怒濤の展開となる。
そのきっかけとなるのが、殺人現場を目撃するシーン。
殺される被害者の趣味がクライミング、という設定。
最後に気付いたけど、これが非常に重要な伏線。
「被害者はロック・クライミングをやるみたいですね」
「なんだって?」
ドクター・ムーアは顎をしゃくった。「手を見てください」
ハントはディヴィッド・ウィルソンの両手を調べた。たこ、ひっかき傷、擦り傷がついている。爪はきちんと切りそろえてあるが、汚れている。過去に出会った建設現場作業員はみんなこんな手をしていた。
郡の監察医であるドクター・ムーアとハント刑事の会話。
クライマーがいきなり殺されてしまうのは残念だけど、これが契機となり物語が動き出す。
展開の巧さ、少年の成長が描かれ、後味のよいラスト。
最後にタイトルの隠れた意味も解る仕組みになっている。
さすが超人気作品である。
【ネット上の紹介】
少年ジョニーの人生はある事件を境に一変した。優しい両親と瓜二つのふたごの妹アリッサと平穏に暮らす幸福の日々が、妹の誘拐によって突如失われたのだ。事件後まもなく父が謎の失踪を遂げ、母は薬物に溺れるように…。少年の家族は完全に崩壊した。だが彼はくじけない。家族の再生をただひたすら信じ、親友と共に妹の行方を探し続ける―早川書房創立65周年&ハヤカワ文庫40周年記念作品。英国推理作家協会賞受賞。
PS
最新作「アイアン・ハウス」の評判もよさそう。
ジョン・ハート 待望の新作
PS
少年が主人公のミステリというと「少年時代」(R・マキャモン)を思い出す。
正直な感想を言うと、私はこちらの方が好き。
【「少年時代」ネット上の紹介】
12歳、なにもかもがきらめいて見えていたあのころ…アメリカ南部の田舎町で暮らす空想好きの少年コーリーはある朝、父とともに不可思議な殺人事件を目撃してしまう。そこからコーリーの冒険に満ちた一年間が始まった!底なしの湖に車と共に沈んだ無惨な死体は誰なのか?悪夢にうなされる父はしだいにやつれてゆき、コーリーは現場に残された緑の羽根を手がかりに、謎解きをはじめる。その過程で友や愛犬と体験する忘れ得ぬ体験の数々―誰もが子どものころに持っていながらも、大人になって忘れてしまった魔法を信じる心をよみがえらせ、世界中の読者好きを夢中にさせた珠玉の名作。世界幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞受賞作。