「美童物語(みやらびものがたり)」比嘉慂
戦時下の沖縄を舞台にした作品。
少女・カマルの目をとおして描かれる沖縄の自然、人々、文化。
おもしろくて、レベルも高いであろうと、予測して読んだ。
それでも、その予想をはるかに超える充実度であった。
短編が4編が収録されている。
「風葬」
「ジュリ馬」
「方言札」
「仁政叔父さん」
私は、「ジュリ馬」と「方言札」が特に好き。
好きなシーンは、「仁政叔父さん」で、ヒーオバーのマブイが姿を顕しカマルと遊ぶところ。
表紙裏を見ると2007年2月23日のまま重版していない。
こんなに、すごい作品が。
いったいどうなっているのか?
読み終わった後、すぐ再読に入ったが、
何度読んでも泣けてくる。
ほんと味のある作品だ。
騙されたと思って、読んでみて。
沖縄文化に興味のある方もぜひ。
声を大にして薦める。
PS
美童(みやらび)とは少女・乙女の意。
折り返しには、このように説明されている。
もっとも美しく輝く年代に入った少女
また小さな女の子の成長に寄せる美しさもいう
広くとらえれば女性の美しさへの憧憬、
懐かしさとしても方言の会話で使われる
美しさとは特定の美形を指すのではなく
思春期の少女の持つ感受性の豊かさ、優しさ深さをいう
【ネット上の紹介】
ノロ(女性司祭者)の家に生まれたセジ(霊力)高い少女・カマルの目を通して描かれる、沖縄独特の風土を背景にした重厚な戦争ドラマ。死者の骨を浜で洗う儀式の真の意味を描く『風葬』ほか読み切り4編を収録。
【参考リンク】
比嘉慂『美童物語』 (07/23)
本作に匹敵する作品は、「夕凪の街 桜の国」「この世界の片隅に」くらいか?
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