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「働かないアリに意義がある」長谷川英祐

2012年08月21日 07時52分27秒 | 読書(科学)

「働かないアリに意義がある」長谷川英祐

全てのアリはよく働く、と思っていたけど、そうじゃない。
働かないアリもいる。

7割ほどのアリは巣の中で何もしていない(P49)
生まれてから死ぬまでほとんど働かないアリもいる(P49)

働かないことによって分業し、コロニーを存続させている。
この本を読むと、自然の摂理に感心する。
いくつか文章を紹介する。

P39
(前略)はじめのうちはできるだけ安全な仕事をしてもらい、余命が少なくなったら危険な仕事に「異動」してもらうことが、労働力を無駄なく使う目的に叶うことになります。つまり、年寄りは余命が短いから死んでも損が少ない、というわけです。

ハチもアリも、若いうちは内勤で、老いると外回りの仕事に就く傾向にある(P49)

P46
お利口な個体ばかりいるより、ある程度バカな個体がいるほうが組織としてはうまくいくということです。


P76アリ社会の組織について
仕事をするやるやつ、なかなかやらないやつ、性能のいいやつ、悪いやつ、優れたものだけではなく、劣ったものも混じっていることが大事なのです。

P132
シロアリの王は非常に長命です。女王の場合は大量の卵を産むため物理的な寿命を伸ばすのは難しいらいいのですが、綾波レイ言うところの「私が死んでも、代わりはいるもの」というわけで、遺伝的には不利にならないのです。(学術系の本で綾波レイが引用され意表をつかれた)

【ネット上の紹介】
7割は休んでいて、1割は一生働かない。巣から追い出されるハチ、敵前逃亡する兵隊アリなど「ダメな虫」がもたらす意外な効果。身につまされる最新生物学。
[目次]
序章 ヒトの社会、ムシの社会;第1章 7割のアリは休んでる;第2章 働かないアリはなぜ存在するのか?;第3章 なんで他人のために働くの?;第4章 自分がよければ;第5章 「群れ」か「個」か、それが問題だ;終章 その進化はなんのため?