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「往復書簡」湊かなえ

2012年08月27日 08時02分35秒 | 読書(小説/日本)

「往復書簡」湊かなえ

中編が3編+ショート1編が収録されている。
どの作品も何年も前の事件が問題になっている。
過去の事件について、「往復書簡」がかわされる。
それによって、事件の真相が解明される趣向になっている。
本作も、例によって一人称で物語りが進む。
どの作品も「おっ」と思う結末が待っている。
一人称で語られるけど、語り手が代わっていくので変速する。
語り手によって、見え方が異なる。
あるいは、嘘をついているのか?
(この「見せ方」が巧い)
今回も、みごとな技巧に感心した。

【おまけ】
今まで、湊かなえ作品を本作入れて4冊読んだ。
①「告白」
②「少女」
③「境遇」
④「往復書簡」
どれも良かったけど、ベストは「告白」。
あとは同じようなレベルで楽しめる。
*(モノローグ形式じゃない、3人称の作品を読んでみたい気もする)

【おまけ】2
「往復書簡」収録の『二十年後の宿題』が映画化された。
映画タイトルは「北のカナリアたち」。
主演は吉永小百合さん。

【ネット上の紹介】
高校教師の敦史は、小学校時代の恩師の依頼で、彼女のかつての教え子六人に会いに行く。六人と先生は二十年前の不幸な事故で繋がっていた。それぞれの空白を手紙で報告する敦史だったが、六人目となかなか会う事ができない(「二十年後の宿題」)。過去の「事件」の真相が、手紙のやりとりで明かされる。感動と驚きに満ちた、書簡形式の連作ミステリ。