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「あい 永遠に在り」高田郁

2013年01月23日 22時03分10秒 | 読書(小説/日本)

「あい 永遠に在り」高田郁

高田郁さん新刊。
高田郁さんと言えば、『みをつくし料理帖』シリーズ、とてもおもしろい。
それ以外でも「銀二貫」「出世花」も良かった。
いずれも、読んでいて大きな感情のうねりを体験でき、物語の醍醐味を得られる。
ストーリーの展開、キャラクター設定も巧み。

今回は史実に基づいた、歴史小説。
制約を受けるため、自由な展開がない分、過去の作品と比べて感情の振幅は少ない。
その分、重く静かな展開となる。
(『みをつくし料理帖』のような怒濤の展開は無い。為念)
幕末から明治にかけて、実在した医師・関寛斎を取り上げている。
関寛斎は、徳冨蘆花氏や司馬遼太郎氏を始め多くの作家によって題材とされた人物。
著者の高田郁さんは、妻・あいの視点から描いている。
あとがきを読むと、資料がほとんどなく苦労したようで、
「婆はわしより偉かった」と、関寛斎の言葉が残るのみ。
ここから、著者は物語をふくらませ構築していった。

他の作品に比べて、地味な内容だけど、
歴史の重さが感じられる内容となっている。

【ネット上の紹介】
齢73歳にして、北海道開拓を志した医師・関寛斎。藩医師、戊辰戦争における野戦病院での功績など、これまでの地位や名誉を捨ててまでも彼は、北の大地を目指した。そんな夫を傍らで支え続けた妻・あい。幕末から明治へと激動の時代を生き、波乱の生涯を送ったふたりの育んだ愛のかたちとは―。妻・あいの視点から描く、歴史上に実在した知られざる傑物の姿とは―。愛することの意味を問う感動の物語。