
「未熟者~伊庭八郎幕末異聞」秋山香乃
女性作家で、時代小説を書かれる方は何人もおられる。
その中でも、秋山香乃さんはトップクラスの巧さ。
詳細な時代考証、生き生きとした人物造形。
注目すべきは剣戟シーン。
おそらく、女性作家では、決闘シーンの巧さナンバーワン、と思う。
・・・というか、ほとんどの女性作家は、時代小説にもかかわらず、剣戟シーンを描かない。
代わりに、心理描写、愛憎表現、恋愛シーンでバランスを取っている。
秋山香乃さんは、両刀遣いで、戦闘シーンも、細やかな心理描写も可能な希有な作家なのだ。
さて、ご存じのように伊庭八郎は幕末を生きた実在の人物。
本作はシリーズ初回で、15歳ころの伊庭八郎が描かれる。
剣の天才で、心形刀流の御曹司。
北辰一刀流の古今無双の剣士・山岡鉄太郎(後の鉄舟)との対決シーンが見所。
見事な表現力で、手に汗握って読んだ。(読み終わった後も、再度読み返した)
ホント、すばらしい。
【ネット上の紹介】
心形刀流の若き天才剣士・伊庭八郎、十五歳。病弱のため剣の道から離れていたが、五年ぶりに仕合に臨んだ相手は、北辰一刀流の古今無双の剣士・山岡鉄太郎(後の鉄舟)だった。山岡の鉄をも貫くと言われた豪剣“鉄砲突き”を八郎は打ち破れるのか!?気鋭の女性作家の書き下ろし新シリーズ第一弾。