【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

「国道沿いのファミレス」畑野智美

2013年09月19日 21時46分35秒 | 読書(小説/日本)

「国道沿いのファミレス」畑野智美

タイトルはさえないけど、中身はおもしろかった。
これで全ての作品を読んだことになる。

「国道沿いのファミレス」 2011 
「夏のバスプール」 2012
「海の見える街」 2012
「南部芸能事務所」 2013

全てと言っても全部で4冊。
(ここから、ネタバレありなので、未読の方注意)
だいたい共通して言えるのは・・・

①親近感ある登場人物たち
②それぞれ登場人物どうしの距離感が絶妙
③元気の出るハッピーエンド

あと、タイトルがさえない事。
これを解消したら、さらに読者が増える、と思う。

さて、ここ2、3年でデビューした実力ある作家と言えば、窪美澄さんを思い出す。
畑野智美さんは、窪美澄と同じくらいレベルが高い、と感じる。
ただし、作品に対する態度、ポリシーが異なる。
それが、エンディングに現れている。
「南部芸能事務所」以外では、全てハッピーエンドだ。
(窪美澄さんの何の解決もなく、これといった劇的なオチもないエンディングと対照的)
今後もこの方針を貫くのだろうか?
それとも「南部芸能事務所」が転換点となって、別方向に向かうのだろうか?
今後も目が離せない作家である。
(次作が楽しみ)

【ネット上の紹介】
佐藤善幸、外食チェーンの正社員。身に覚えのない女性問題が原因で左遷された先は、6年半一度も帰っていなかった故郷の町にある店舗だった。淡々と過ごそうとする善幸だが、癖のある同僚たち、女にだらしない父親、恋人の過去、親友の結婚問題など、面倒な人間関係とトラブルが次々に降りかかり…。ちょっとひねくれた25歳男子の日常と人生を書いた、第23回小説すばる新人賞受賞作。