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「迷子の王様~君たちに明日はない」(5)垣根涼介

2014年09月14日 08時30分18秒 | 読書(小説/日本)

迷子の王様―君たちに明日はない〈5〉 
「迷子の王様~君たちに明日はない」(5)垣根涼介

シリーズ5作目にして、完結編。
リストラ請負人が首を切っていくシリーズ。
次の4編が収録されている。

トーキョー・イーストサイド
迷子の王様
さざなみの王国
オン・ザ・ビーチ

いくつか文章を紹介する。

P7
今の日本の潜在的な社内失業者は、500万人にも達するという。
それらの膨大な人員を整理するため、会社側は達成が到底不可能な目標を与え、クリアできない社員を容赦なく降格させ、子会社に追いやり、それまで携わってきた仕事のスキルを何も活かせない職場に放り込む。当然、そこでの人事評価は以前にも増して悪くなり、その査定の結果として、さらに劣悪な労働環境の中に落とされる。

P8
「(前略)企業とそこに勤める人って、どこか男女関係に似ているような気もする」

・・・そう言えば、奥田英朗さんの「我が家の問題」にも次のようなセリフがある。
「結局、男と会社の関係って、永遠の片想いなのよね」
「言えてる。一生のうち半分以上を過ごすところだもんね。そりゃあ愛されたいわよ」


P170-171
「あのさ、日本ではいつの時代から、外向的な人間が良くて、内向的な人間が駄目だって言われ始めたんだろうね?」
(中略)
だが事実そうだ。沈黙は金なり、などという言葉は今ではもう死語に近い。謙譲の美徳、などという言葉もこのご時世ではいい笑いものだろう。別に格言を並べ立てて生きようとも思わないが、真介が子どものころには、確実に「実直」とか、「寡黙」とかいう言葉が、周囲の大人の間でも生きていたように思える。
(いまやコミュニケーション・スキルがないとスクール・カースト最下層で、いじめにもあってしまう・・・イヤな世の中だ)

【関連作品】




【参考作品】

 「我が家の問題」奥田英朗

【ネット上の紹介】
一時代を築いた優良企業にも、容赦なく不況が襲いかかる。リストラ請負人・村上真介のターゲットは、大手家電メーカー、老舗化粧品ブランド、地域密着型の書店チェーン…そして、ついには真介自身!?逆境の中でこそ見えてくる仕事の価値、働く意味を問い、絶大な支持を得る人気シリーズ、堂々完結。