フィギュアスケートの話。
藤里梨津子は離婚して娘の小織とともに名古屋へと転居。
フィギュアスケートの名コーチに師事することになる。
フィギュアスケート表の世界と裏側が描かれる。
どうだろう、面白いのかな、と思って読みだしたが、杞憂であった。
本書も一気読みの面白さであった。
P13
小織がマスターしている三回転ジャンプは、トウループとサルコウである。その頭があるから、トウを突いて跳んだ三回転ジャンプはトウループ、突かずに跳んだ三回転ジャンプはサルコウだと勝手に思っていた。
P101
もちろん、いくら身体能力に優れていても、いい演技ができるとは限らないのがフィギュアスケートだ。ジャンプ一つ取っても、高く跳ぶことより、シャープな軸を作って素早く回転することのほうが重要であったりする。脚力だけでなく、全身の筋肉が統一性を持って、わずかな無駄もなく連動することが大事なのだ。
【蛇足】
娘にフィギュアスケートを習わせるのって、これほど大変とは思わなかった。
私にはとうてい無理…。(娘いないけど)
いたとしても、習わせようと思わない。
せいぜいクライミングでしょう。(安上がりだし)
【他の作品】
それにしても多彩なジャンルを描かれる作家だ。
どれも面白い。
でも、一番面白いのは「引き抜き屋」かな。
「引き抜き屋 鹿子小穂の冒険」(1)雫井脩介
「引き抜き屋 鹿子小穂の帰還」(2)雫井脩介
「クローズドノート」雫井脩介
「 犯人に告ぐ」雫井脩介
「犯人に告ぐ」(2) 雫井脩介
【ネット上の紹介】
夫の浮気で離婚、娘の小織とともに名古屋へと転居し、無気力な日々を送っていた藤里梨津子だったが、フィギュアスケートの名コーチに小織の才能を見出され、娘を支えることに生きがいを感じ始める。スケートクラブ内の異様な慣習、元夫の会社が倒産したため途絶えた養育費、練習方針を巡るコーチとの軋轢―人生のすべてを懸ける梨津子の思いに、小織はとまどいながらも成績を上げていき、やがて…。フィギュアスケートの世界を舞台に母と娘の絆を描く、著者渾身の長編小説。