【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

「消費大陸アジア 巨大市場を読みとく」川端基夫

2018年10月19日 20時55分10秒 | 読書(海外事情)


「消費大陸アジア 巨大市場を読みとく」川端基夫

P30
ポカリスエットについて、
スポーツドリンクのイメージがあるが、正しくは発汗で失われた水分とイオンを補給する飲料であり、大塚製薬が医療機関向けに製造販売してきた点滴剤の製造ノウハウをベースにした飲料水である。

大塚製薬がインドネシア市場でポカリスエットを販売し始めたのは1989年のことであった。
ところが全く売れなかった。
インドネシア人は熱帯の気候下でスポーツに汗を流そうと思わないし、湯に浸かる習慣もない。
よって、風呂上がりに飲むこともない。
酒が禁じられたイスラム教徒なので二日酔いになることもない。
値段も他の競飲料より3-5割高額。
故に、さっぱり売れなかった。
2004年大塚製薬ににとって大きな転機が訪れる。
デング熱の大流行であった。
デング熱時の水分補給剤として広く認知されたのである。
地道な医療機関へのマーケティングが、功を奏したのだ。
その後、イスラム教の「ラマダン明けの乾きを癒やす」に、マーケッティングをシフトする。
当初、現地宗教に関わるデリケートな部分にマーケティングをかけることに戸惑いがあったようだが、現地営業スタッフの後押しもあり、2005年からラマダン明け脱水シーンへの働きかけを行った結果、飛ぶように売れ出したのだ!
スポーツ飲料→デング熱の渇き→ラマダン明け
P37
一気に二億人の消費者にとって大きな価値を持つ商品に変貌したのである。


このように、プロジェクトX、アジア・ビジネス戦士篇のような話が詰まっている。
吉野家の牛丼の話(P42)など興味深い。
また、ラーメンは麺と思っている日本人には「ラーメンはスープだ」と意味づけされる話も面白い。(P68)

日本に行ったら買わねばならない12の神薬

【ネット上の紹介】
増加する訪日観光客、喧伝される中間層の増加、進出が続く日本のメーカーや飲食店…アジアの市場・消費が注目されてから久しいが、その重要性はますます高まってきている。中国、台湾、タイ、ベトナム、インドネシアなどアジア各国で長年調査してきた著者が、各地に進出した日本企業の成功と失敗の豊富な事例から、その成否を左右するアジア市場固有の論理を読みとく。日本企業の海外展開や訪日観光客誘致のポイントを知りたい人はもちろん、アジアの地理や文化に関心がある人も必読の一冊!
序章 世界は意味と価値のモザイク
第1章 ポカリスエットはなぜインドネシアで人気なのか?―「意味」と「価値」の地域差
第2章 ドラッグストアに中国人観光客が集まる理由―「意味」と「価値」を生み出す社会の仕組み
第3章 意味づけを決める市場のコンテキスト―日本人が知らない「脈絡」
第4章 アジアの中間層市場―意味づけと市場拡大
終章 アジア市場の論理―市場のコンテキストに迫るために