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「ミシンの見る夢」ビアンカ・ピッツォルノ

2021年06月15日 08時31分02秒 | 読書(小説/海外)


「ミシンの見る夢」ビアンカ・ピッツォルノ

19世紀から20世紀、イタリアを舞台にした作品。
疫病により両親を亡くし、祖母に育てられる。
当時、お針子は、お屋敷に出向いて様々な縫い物をした。
祖母から針仕事を習い、ミシンと自分の腕一つで生きていく。
当時のイタリア階級社会での人間模様――友情、別離が淡々と描かれる。

著者はもともと児童文学作家。
本作は大人向けに書いた3作目、とのこと。
大人向け、児童文学の枠組みを超えた良質な作品、と思う。
とてもよかった。今年ベストのひとつ、と思う。

P159
「お金持ちほど頭がおかしいんだよ」こう教えてくれたのは祖母だ。「気のふれ方はひとそれぞれ」というのも。

初めて旅行をして海を見る
P166
こんなふうだとは想像してもみなかった。海は生きていて、眠り込む巨大な動物の背中のようだった。

PS
途中、「ジェイン・エア」を読むシーンも出てくる。


PS
なんとなく「イルカの家」を思い出した。


【ネット上の紹介】
19世紀末、階級社会のイタリア。お屋敷に通って針仕事を請け負うなかで知った、上流家庭の驚くべき秘密とは―ミシンひとつで自由に力強く人生を切り開いた小さなお針子の波瀾万丈の物語。