「私の少女マンガ講義」萩尾望都
P74
日常生活を安全に平穏に過ごすための術も必要で、ルールや決められた思考が安全域にあるんですけれど、不思議なことにそれだけでは人間は窮屈になってくる。SFは自分の自由感覚を取り戻すのに一番よい扉なんじゃないでしょうか。
P78
確かに少女マンガに登場する男性には、マッチョ系はあまりいません。一見すると女性が男装したような、スマートでヒゲも生えず汗もかかないような、性のない存在です。なぜなら、少女マンガの世界は一種のファンタジーで、恋愛するにしても、それはファンタジーの中のことだからなのです。
P133
マンガのオーソドックスな「基本」を描いているのが、横山光輝先生と手塚治虫先生、そしてちばてつや先生です。だいたいこの三人の技法を押さえておけば、マンガの基本は描けるでしょう。
【感想】
聞き手が矢内裕子さんで、けっこうツボを押さえた質問と合いの手を入れている。
【ネット上の紹介】
『リボンの騎士』から『大奥』まで、少女マンガの歴史をひもといたイタリアでの講義を完全収録。創作作法や新作『春の夢』など自作についてもたっぷり語り下ろす。
1章 イタリアでの少女マンガ講義録―『リボンの騎士』から『大奥』へ 少女の、少女による、少女のためのメディア(少女マンガの歴史
自作についての解説
質疑応答―イタリア人聴講者からの質問
イタリア人ジャーナリストによるインタビュー)
2章 少女マンガの魅力を語る―読む・描く・生きる(少女マンガは生きている
私の創作作法)
3章 自作を語る―『なのはな』から『春の夢』へ 3・11以降の作品たち(『なのはな』―鎮魂のありか
『プルート夫人』『雨の夜―ウラノス伯爵―』『サロメ20××』―放射性物質三部作
『福島ドライヴ』―音楽から生まれる物語
『なのはな―幻想『銀河鉄道の夜』』―日常への回帰
『王妃マルゴ』―愛とエロスの王朝ライフ
『AWAY』―子供が作る未来を信じる
『春の夢』―ドアを開けたら、ずっと彼らはそこで生きていた)