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またの名をグレイス

2021年08月24日 07時29分34秒 | TV/ドラマ

カナダ・ドラマ「またの名をグレイス」をNetflixで観た。
2017年、カナダ作品。
原題:Alias Grace
全6話。1話43分-46分

実際にあった殺人事件をミステリ仕立てでドラマ化。
原作は、マーガレット・アトウッドの小説。
19世紀カナダが舞台。

【原作・ネット上の紹介】
殺人事件で犯人とされた美女は事件を主導した「魔性の女」だったのか、それとも歴史に翻弄された犠牲者だったのか。一九世紀カナダで起き、当時世界中で話題となった殺人事件の記録を素材に、巧みな心理描写を織りこみながら、ミステリー仕立てに、人間存在の根源を鋭く問いかける

以下、ネタバレありで注意。
精神科医サイモン・ジョーダンが刑に服しているグレイスの聞き取りをする、という形式でドラマは進む。グレイスは、家族でアイルランドから移民してくるところから語り始める。母は船の中で亡くなる。酒を飲んで暴力をふるう父から逃れるためトロントに行き、女中として勤める。その時グレイス12歳。(事件当時は16歳)
こうしてグレイスは、順を追って生い立ちから少しずつ語り初め、事件当日の核心に近づいていく。

ここで問題なのが、グレイスは真実を語っているのか、ってこと。
精神科医サイモン・ジョーダンが欲する「物語」を創作してるのか?
さらに催眠術で、多重人格とも言える「メアリー」が出現する。
これをどう判断するのか?
これもグレイスの演技なのか?
高レベルの作品、カナダドラマ侮れない。

【参考・・・アイルランド「ポテト飢饉」について】
P65
1845年から1849年にかけて多くのアイルランド人が祖国を離れアメリカを目指した。その移民の多くが、ニューヨークで仕事を見つけ定住した。祖国にいた当時から英国による迫害を受け、渡航先でも様々な偏見と差別にあい、高収入が見込める仕事につくことは困難であった。「地図で読むアメリカ」ジェームス M.バーダマン/森本豊富

P97
19世紀に入ると、ヨーロッパでの産業革命の進行とジャガイモの不作で貧窮した移民が大量にアメリカに流入し、彼らの持ち込むカトリック信仰が次第に批判の標的とされるようになる。「ネイティヴィズム」(Nativism)と呼ばれる排斥運動は、この頃始まったものである。「キリスト教でたどるアメリカ史」森本あんり

*最初、ポテト飢饉でカナダに渡った、と思っていたが違う。
どうやら、グレイスの父親の暴力沙汰により、アイルランドを離れざるを得なかったようだ。でも、背景として当時、大量のアイルランド難民が押し寄せていた、という事実を押さえておく必要がある。

【原作】