「 エチュード春一番 第3曲 幻想組曲〈狼〉」荻原規子
シリーズ3冊目。
このシリーズ、前作2016年出版。
もう二度と続きが出ないのでは?、と心配していた。
このたび新刊が出版され、嬉しい驚きだ。
ネット上の紹介では、「平将門の時代にタイムスリップ」とあるので、読む前から期待が高まる。そして、予想に違わずおもしろかった。
もともと、著者は「勾玉シリーズ」「風神秘抄」と、歴史ファンタジーを得意としている。今回は、その面目躍如、と言ったところ。
P52
「菩薩がご本尊なら、お寺だよね。八幡宮は神社じゃないの?」
モノクロが気のない声で言った。
「八幡宮の神は、初めから神でもあり菩薩でもあるというふれこみだ。おぬしは日本の宗教が、明治維新が起こるまで神仏習合だったことを忘れているぞ。中でも八幡神は、歴史上真っ先に仏教と習合した神だった」
P234
「現代とはフェーズが違うんだよ。ええと、この時代にはユカラのように考える人間がまだたくさんいるから、人間サイドの事象がそのように映る。平安時代なら、呪法はハイレベルな戦法でもあったよ。朝廷のトップの人間だろうと、寺院に敵の調伏を依頼するくらいだ。調伏というのも呪詛の同義語だよ。仏教的に言い換えただけ」
P255
「守護神さま」
(中略)
「どうか私に力をお貸しください。木の女神さま」
(セリフの間に、ネタバレがある・・・だから(中略)にした。実際読んで、驚いてみて)
P311
八幡宮の禰宜に聞いた聞いた話を思い出す。薬師寺の隣に八幡宮が設置された事が、今では理解できるようだった。(本作品は、前作と繋がりがあった!独立した作品と思っていたが、違った。3巻目出版が遅れたのは、資料を消化するのに手間取ったのと、講談社タイガから角川文庫に移ったのと、両方の影響?あるいは、別の要因?)
【関連図書】
「エチュード春一番 第1曲」荻原規子
「エチュード春一番 第2曲 三日月のボレロ」荻原規子
【ネット上の紹介】
八百万の神・モノクロと共に平将門の時代にタイムスリップしてしまった美綾「「これぞ荻原規子。さすが荻原規子。本の中に引きずり込まれそう」八咫烏シリーズの阿部智里も大絶賛! シリーズ続編が書き下ろしで登場! 全く新しい解釈で日本の歴史を取り込んだ超ファンタジー!