「毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記」北原みのり
タイトルどおり、木嶋佳苗100日裁判傍聴記。
木嶋佳苗の事件は、日本の男性を震撼させた、と思う。
でも、ほとんどの男性は「俺はだまされないぞ」、と感じたんじゃないだろうか?
私なら、どうだろう?
いくつか文章を紹介する。
P4
女の犯罪といえば、影に男がいることが未だに多いが、佳苗に男性の共犯者はなく、女の犯罪に感じる湿度のようなものが、あまりにもなかった。
P81法廷での佳苗の様子
午前と午後で服を変えたり、前髪を切ってきたり、唇をつやつやさせたり、胸が大きく開く華やかな服を着てきたり・・・
P94
この社会に生きていれば、不美人であることの不遇を、女は痛いほど感じている。女は男のようにブスを笑えない。自分がブスだと、自虐はしても、他人のブスは笑わない。それは天につばするようなものだから。
P120
男は純情の名の下にお金を出し、愛を求め、手料理を求め、セックスを求めてくる。佳苗のドライさと合理性に、純情が適うわけがない。
P137法廷の検事とのやりとり
声を荒らげる検事に、一度、佳苗が笑ったことがあった。(中略)
「なぜ笑ったんですか?」
と検事が聞くと、佳苗は彼を見ようともせず、マイクに向かって、はっきりとこう言った。
「あなたが、常に、恫喝的だからです」
P248
佳苗の話を男性とすると、よく「おれはだまされない」で終わってしまうんですけど、ご飯を作ってくれて、優しくしてくれて、「あなただけが大事です」ってケアしてくれる女性がいたら、容姿に関係なく、日本の男はかなりの確率でだまされると思います。
さて、再度、自分に問うてみる。
私は、騙されないだろうか?
相手はプロである。
う~ん・・・自信がない。
【参考リンク】
木嶋佳苗の拘置所日記
【関連作品】
「毒婦たち 東電OLと木嶋佳苗のあいだ」上野千鶴子/信田さよ子/北原みのり