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「大江戸少女カゲキ団」(1)中島要

2019年10月13日 17時28分36秒 | 読書(歴史/時代)
「大江戸少女カゲキ団」(1)中島要

「着物始末暦」で有名な中島要さんの新シリーズ。
今度は「芝居」をテーマに描く。
江戸版「ガラスの仮面」?それとも「宝塚」江戸バージョン?

P49
役者は芸と人気次第で大金を稼げる商売だが、持って生まれた才能よりまずは血筋がものを言う。役者の位はいわゆる看板役者の「名題」から「相中」「中通り」、そして最下位の「稲荷町」と分けられる。

P58
父は性根の腐った嘘つきだが、「役者は舞台の上でなら何にでもなれる」という言葉は本当だった。
今日まで勘平を演じているとき、芹の心は貧しい少女ではなくなっていた。運命の皮肉に翻弄され、自ら命を絶った悲劇の武士になりきっていた。

【感想】
当時、女性は役者になれない。
能も歌舞伎も男の世界だ。
女性の役も男性が演じる。
それを少女ばかりで芝居をする、って発想がすごい。
時代小説では初めてかも?出雲阿国以来?

話は蔵前天王町の札差大野屋時兵衛の娘・お才と「掛け茶屋まめや」の女中をしている芹が出会うところから話が進展していく。
さらに日本橋本船町魚正の跡取り娘・紅、仏具屋行雲堂の娘・お仁、踊りの師匠・東花円も絡んで、登場人物たちも賑やかとなり、彼女たちのやりとり、人間関係も語られ、物語も深くなってくる。
さて、今後どう展開するか楽しみ。
個人的な願望を言えば、お才の共の女中・お兼や、それぞれ共の女中も活躍させて欲しい。A・デュマ「三銃士」も、中心メンバー4人+それぞれの従者も語られて、キャラクター小説として面白さが増しているから。

【ネット上の紹介】
花のお江戸の両国に、芹が女中として働く「掛け茶屋まめや」がある。芹は幼いころ、役者だった父のもとで芝居の稽古に励んでいた。しかしあることがきっかけで、芝居や踊りからすっかり遠ざかってしまう。ある日、芹は久しぶりに心の中で踊りの師と仰いでいる東花円の稽古所を覗いた。ちゃんと金さえ積めばあたしだって立派な師匠に弟子入りすることが出来るのに……。心にうずく妬み心を隠しつつ、踊りへの未練を捨てきれずにいた。そんな時、花円が突如まめやに現れて、意外な申し出をしてきた──。待望の新シリーズの開幕です!!
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