「わが家の母はビョーキです」(1)(2)中村ユキ
非常にシビアな内容である。
本来なら、読み進むのもしんどいエピソードが連続する。
しかし、丸みのあるシンプルな描線が、柔らかく表現している。
病態失認について
P131
「病態失認」というのは「病気があるのに自分では病気ではないと感じ、そう感じるままに行動してしますこと」、つまり「病識がない」ことだそうな。
P134
統合失調症は100人に1人の割合でかかります。
患者数はガンとほとんど変わらない
高EEとは?
②P126
「感情表出尺度」(Expressed Emotion)の頭文字で、患者さんに対する感情を尺度化したもの。
批判・敵意・心配のしすぎの感情が高い場合を「高EE」、
その逆を「低EE」といい、「高EE」で接するほど再発率が高くなるといわれている。
社会的入院とは?
P153
医学的観点からは既に入院の必要性が薄いにもかかわらず、戻る場所がない、自立生活がむずかしいなどの理由から長期入院を続ける状態のこと。
手元にある本は、半年くらいで10刷を重ねている。
本作品の啓蒙書としての意義は大きい、と思う。
またなにより、患者やその家族にとって福音のような作品、でしょう。
【おまけ】
なぜ読む気になったか?
児童精神科医・夏苅り郁子さんが次のようにコメントしていたから。
「中村ユキさんが統合失調症の母親との日々を描いた作品で、何十年も私が隠してきた思いが表現されていた。ただただ泣きました。精神科医の立場で、自分の経験を発信しようと決心しました」2016.9.7朝日新聞・インタビュー記事より
【参考リンク】
【ネット上の紹介】
母が精神科に通いはじめたとき、私はまだ4歳だった―。それでも好きな母親と、泣いて笑って生きてきた。31年間の想いが詰まった感動のコミックエッセイ。
[目次]
1 発病から20年まちがいだらけの不安な日々(ストレスフルな生活と発病
幻聴に従う
自殺企図 ほか)
2 社会とのつながり回復の兆し(措置入院
その後の手続きイロイロ
恥ずかしい… ほか)
3 私の結婚と新生活(きっかけはお母ちゃん
プロポーズに苦悩
同居生活 ほか)