「トランプがローリングストーンズでやってきた 言霊USA2016」町山智浩
現在米国事情、シリーズ4作目。
P18
アメリカ労働局の調査では、2012年の女性の平均賃金は、男性のそれの80.9%しかない。ただ、1979年には、わずか62.3%だったのだから、この三十数年間で着実に改善されている。ちなみに日本の場合、79年は51.1%で2012年は53.3%。ほとんど変化なし。
P175-177
ゲイやレズビアンに対する人々の理解は広まった。愛や欲望にはいろんな形があるのだと。だが、ちょっとわかりにくいのが、アセクシャルだ。このア(A)は否定の意味で、アナーキー(無政府状態)の「ア」。だからアセクシャルは「無性愛」。男にも女にも性的な感情を抱かない。
(中略)
その苦しみを描いたのがディズニー・アニメ『アナと雪の女王』ではなかったか。王女エルサは国のために結婚することが使命だった。しかし、男性を受けいれることができない。彼女が触れるものは皆、凍りついてしまう。『アナと雪の女王』の原題はフローズンFrozen(凍りついて)だが、「性的に感じない」という意味もある。
(中略)
『アナと雪の女王』のエルサは誰とも結婚せず、「ありのまま」に生きていくことを選び、家族にも認められてハッピーエンドになる。
(中略)
しかし『アナ雪』を合唱していた人々はいったいエルサの「ありのまま」を何だと思って歌ってたんだろうね。
(『ガープの世界』のガープの母ジェニー、シャーロック・ホームズ、アイザック・ニュートン、哲学者カントが、アセクシャル、と言われている)
[目次]
セルマは今ですbyジョン・レジェンド
現実離れしてスケールの大きな
ジャンボ=巨大。もとはサーカスの象の名前
みんな俺が殺した。決まってるだろbyロバート・ダースト
他人種といっしょ
クリアーになる。サイエントロジーで魂を浄化すること
ゼフ。南アフリカの貧乏白人独特の文化
政府の貧困層向け食費援助額で実際に暮らしてみる実験
私たちはマウナケアだ
女優にセックスの対象としての役が来なくなる日〔ほか〕
【ネット上の紹介】
世界のバカはアメリカをめざす! 過激で“使えない”新語・失言がてんこ盛り! サブカルから政治まで、マッドなアメリカがほとばしる、週刊文春の人気連載「言霊USA」単行本化、いよいよ第四弾に突入! アメリカ在住映画評論家の町山智浩さんが、いまアメリカで起きているおバカな出来事、日本では考えられないハチャメチャなニュースを、現地で流行ったスラング、失言、名言をもとに面白おかしく、かつ歴史的な背景も絡めながら解説します。今回は大統領選やフランスのテロ、スターウォーズの新作映画(『フォースの覚醒』)や移民排斥問題など、ホットな話題が満載。また、ショーン・ペンのメキシコ麻薬王訪問の舞台裏や、知る人ぞ知るテキサスの「おっぱいレストラン」、ハッパでキメながら大統領選に立候補宣言したカニエ・ウェストなど、サブカルから政治まで、町山さんの幅広さと持ち味、ユーモアが存分に詰まった、ファン必読の一冊となっています。シリーズ本第四弾にして、町山さんの鋭い毒舌、切れ味抜群のギャグが、よりいっそう過激に炸裂しています!澤井健氏の爆笑イラストもあわせて、ぜひお見逃しなく!