「恋の手本となりにけり」永井紗耶子
本書のタイトルは「曽根崎心中」の一節。
19歳になったばかりの遠山の金さんが主人公。
吉原の遊女の死因を調査することに。
P7
旗本、遠山家の息子ではあるが、今は無役。歌舞伎森田座の舞台で笛を吹いたりしながら、日銭を稼いで暮らしている。
P140
「俺はね、武士が渋い顔して武士をやってるのが嫌いなんだよ。いつでも死ぬ覚悟がございって顔は見たくもねえ。あれは、俺にしてみれば、粋じゃねえ。生きるってことはな、覚悟がいるんだ。死ぬ覚悟も結構だが、しっかり生きてから言うんだな」
【おまけ】
私は図書館で借りたハードカバーで読んだが、本作品は、文庫本も出ている。
私は失敗をした。
著者は多島斗志之さんと同じで、文庫本化した時にタイトルを変えるようだ。
文庫本タイトルは「絡繰り心中 部屋住み遠山金四郎」。
この時、大幅加筆されている。
こちらで読むべきだった。失敗の巻、である。
(タイトルが変わっているから分からなかったのだ…後で調べて分かった!)
PS
逆に、単行本で読まないといけない場合もある。
星野博美さんの「戸越銀座でつかまえて」である。
文庫本化された時に、一部カットされている。(私はそこを重要箇所と考えている)
両方読み比べて初めて分かる…困ったものだ。
【ネット上の紹介】
江戸の花街・吉原の外に広がる田んぼで、ひとりの女が斬られて殺されていた。見つけたのは、昨夜その花魁・雛菊と話を交わしていた若き遠山金四郎だった。大田南畝、歌川国貞とともにその死の真相を探り始めた金四郎は、彼女がかねてから会う男たちに心中を持ちかけていたことを知る。社会派女性作家が、花魁の心の深奥に迫った時代ミステリー。「小学館文庫小説賞」第11回受賞作。