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「伝言」中脇初枝

2023年11月03日 08時28分52秒 | 読書(小説/日本)


「伝言」中脇初枝

満洲・新京が舞台。
女学生ひろみ、李太太、軍属が語り手となって物語をすすめる。

P168
シオだよ。シオを専売して、大儲けしてるらしい。
塩で大儲けできるんですかと間抜けな問いを返した自分を、技師はせせらわらった。
本当の塩のわけないじゃないか。阿片のことをシオって呼ぶんだ。

P191
「だって、日本はアメリカに負けたんでしょ。支那に負けたわけじゃいのに」
(中略)
「でもここは満州国よ。中国じゃない」
「中国なんだよ。もともとね」

P281
「移民というものは、鎌と鋤を持っていくべきものなのに、満州移民は武器を持っていっているって。あれはよくないって。長続きはしないって」

【関連図書】

「世界の果てのこどもたち」の姉妹作品。
今年のベスト、読んでみて。

【ネット上の紹介】
満洲・新京で暮らす、ひろみ。「尽忠報国」「一億玉砕」「五族協和」、そう信じていた―永遠に失われた、もう、どこにもない国。あの場所で見たこと、聞いたこと、そして、わたしに託されたことを、わたしは忘れない。2016年本屋大賞3位。『世界の果てのこどもたち』には書かれなかったもうひとつの真実。終戦間際の満洲を、圧倒的な事実に基づき描く。

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