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「勝海舟の腹芸」野口武彦

2024年07月19日 07時49分16秒 | 読書(歴史/時代)


「勝海舟の腹芸」野口武彦

P49
鳥羽伏見の戦いで勝敗を決めたのは武器の優劣だとする通説がある。最近刊行されて多くの読者を持つ半藤一利『幕末史』でも「幕府側の東軍は旧式の先込め銃、薩長の西軍は元込め銃」といわれているが、これは見直した方がよい。

P69
新政権は無一文だった。王政復古で徳川家を追い落とすのに夢中だった岩倉具視らは、旧幕府から国庫を引き継ぐのを忘れていた。孝明天皇の一周年祭の費用にも事欠く有様だ。

P120
神仏分離令は、布告されるや否や、各地で暴走を始めてしまった。(中略)
比叡山では江戸時代を通じて神官は僧官の下流に置かれ、つねに差別待遇を受けていたのである。神仏分離令は積年のウップンを晴らす絶好のチャンスだった。

P147
戊辰戦争の死者はほぼ3人に1人が会津人なのである。
会津藩がいかに幕末維新のスケープゴートであったかがわかろう。

P151
世の中には偉くしてはいけないタイプの人間がいる。
奥羽鎮撫総督府の下参謀になった大山格之助と世良修蔵がそうだった。

P171
幕末まで徳川家は400万石の大大名だった。大政奉還と王政復古の後、新政府はそのうち200万石を差し出せと言い出し、それを拒絶して始めた鳥羽伏見戦争に敗れた結果、こんな窮地に陥ったのである。徳川家は破産企業のようなものだ。

P172
徳川家の石高は、400万石からいっきょに70万石に減らされたのである。

【ネット上の紹介】
維新の志士はみな傑物、明治は華やかな新時代―というのは教科書の中の幻想。デタラメな新政府と死に損ないの旧幕府がせめぎあい、実情はまさに大混乱!家来を捨てて逃げ出す慶喜、奸計を巡らす岩倉具視、世間知らずの公卿たち…。その間を取り持って勝海舟は孤軍奮闘!敗者は非情な淘汰で歴史から消え、勝者は好き勝手に国を創る。最終決戦・戊辰戦争を軸に、「めちゃくちゃ」な政権交代劇を描く。
第1部 明治回天録(明治のメの字はめちゃくちゃのメ
江戸湾の海戦
討薩の表
鳥羽街道の開戦 ほか)
第2部 明治滅法録(歴史の回り舞台
小栗上野斬首
会津藩追討
官軍は官賊なり ほか)

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