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「からゆきさん 異国に売られた少女たち」森崎和江

2021年12月14日 10時09分29秒 | 読書(風俗/社会/貧困)


「からゆきさん 異国に売られた少女たち」森崎和江

70年代名作ノンフィクションを読んだ。

P37
海外の娼楼にいるからゆきさんがもっとも多かった時期は、日露戦争後から大正のはじめまでの10年間だが、そのころは香港やシンガポールなどの密航業者の顔役に、日本人もおさまっていた。

P42
女ひとり売れば500円というのが、明治3、40年ごろの相場で、香港からシンガポールなどの南方へも、また上海やウラジオ方面へも500円内外で売った。

P106
当時、ヨーロッパの女の国際的な売買はさかんなものだった。ついに1880年代にはそれを禁じようとする各国有志の活動がおこるほどになった。奴隷売買は禁じられても、なおそのなごりのように人身売買はつづいて、ひろくアジアへも及んでいたのである。

P128
朝鮮は儒教の国。男女とも、どの階層も人前で肌をあらわすことがなかった。反対に日本では裸体での外出や混浴の禁止が維新のあとくりかえし出されたが、容易に改まらぬほど、肌ぬぎはふつうのことであった。(今でも、この文化の違いがある・・・韓国の方が日本に来て、若い女性がミニスカートで自転車に乗るのを見て驚くそうだ)

P149
「いんばいになるか、死をえらぶか、といわれたら、死ぬんだった。うちは知らんだったとよ、売られるということが、どげなことか・・・・・・」

P228
天草の乱では天草の島じまや島原半島では、どの村も村びとがたくさん戦死した。(中略)そこで幕府は全国の藩に命じて、天草と島原とに、各藩から数戸あるいは数十戸ずつ、農家を移した。(中略)天草のぜんぶ、島原半島の全体が、新開地のようになった。

P257
本書が出版された1970年代後半は、日本人男性が東南アジアや韓国へ女性を買いに行く「買春観光ツアー」が社会問題化し、80年代に入ると東南アジアから日本に出稼ぎにくる「ジャパゆきさん」が注目されました。(当時、JALパックは、「ヤルパック」と揶揄された)

【関連図書】

こちらも名作

【ネット上の紹介】
16歳で朝鮮に売られ、狂死したキミ。東南アジアで財をなし、壮絶な自殺を遂げたヨシ。ふるさとを思い、売られていった女たちが、異国の地で見た夢は何だったのか。綿密な取材と膨大な資料をもとに、「からゆきさん」の軌跡を辿った名作が、新装版で復刊。
目次
ふるさとを出る娘たち(玄界灘を越えて
密航婦たち
ふるさとの血汐)
国の夜あけと村びと(おろしや女郎衆
シベリアゆき
異人の子と上海)
鎖の海(唐天竺をゆく
海をわたる吉原
戦場の群れ)
慟哭の土(おキミと朝鮮鉄道
大連悲歌
荒野の嵐)
おくにことば(おヨシと日の丸
天草灘)

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