【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

「励み場」青山文平

2017年01月13日 21時18分28秒 | 読書(歴史/時代)


「励み場」青山文平

江戸時代のお仕事小説であるが、家族も描いている。
さらに、経済の要素も強い。
徳川幕府は、米で世の中を回そうとするが、
世の中は、貨幣の時代に変わっていっている。 
その齟齬、相克が具体的に描かれる。 
そうとうな資料を読みこなしていると感じる。 
しかも面白い。感心した。 

P4
「別れた女房に去り状を渡さないまんま後添えをもらったら、その亭主は処払いになっちゃうの」

P5
「去り状っていうのは、たとえ女房がどんな不始末をしでかそうと、“気合わずそうろうにつき”とか、“互いの縁これなく”とか、理由をあいまいにぼかすのが当たり前でしょ。それが男の意気地ってもんでしょう」

【おまけ】
青山文平作品を読むのはこれで4冊目。
「鬼はもとより」
 ↓
「つまをめとらば」
 ↓
「半席」
 ↓
「励み場」

「鬼はもとより」第152回直木三十五賞候補、「つまをめとらば」で154回直木三十五賞受賞。
本作は、受賞後2作目。
私は、「半席」より、こちらの方が面白く感じた。

【ネット上の紹介】
 信郎は江戸へ出て勘定所の下役になり、実績を積み上げて、真の武家を目指すのだが…。「仕事とは何か」「人生とは何か」「家族とは何か」を深く問う書き下ろし時代長篇。


「荒神」宮部みゆき

2017年01月12日 21時28分33秒 | 読書(歴史/時代)


「荒神」宮部みゆき

宮部みゆきさんの時代小説。
東北の山村に怪物が現れ、村は壊滅。
隣り合う二藩の対立、過去の因縁。
多数の登場人物、群像劇の様相を呈する。

P552
「こうしたことをみんな、誰も悪いと思ってしているのではない。よかれと思ってやっているのだ」
(中略)
「だから、追求すればするほどに、悪事は消えていってしまう。残るのは悲しみと不信ばかりだ」

【おまけ】
多くのキャラクターを描き分け、魅力的に描いている。
最後に謎解きもあって楽しめる。
ただ、著者の現代ミステリ作品に比べると、面白さのレベルは落ちると感じてしまう。
私の趣味の問題もあるのかもしれない。

【ネット上の紹介】
時は元禄、東北の山間の仁谷村が一夜にして壊滅状態となる。隣り合う二藩の因縁、奇異な風土病を巡る騒動…不穏さをはらむこの土地に“怪物”は現れた。仁谷擁する香山藩では病みついた小姓・直弥や少年・蓑吉らが、香山と反目する永津野藩では専横な藩主側近の弾正や心優しきその妹・朱音らが山での凶事に巻き込まれていく。恐るべき怪物の正体とは?交錯する北の人々はそれぞれの力を結集し、“災い”に立ち向かう!
 


「両親の送り方」宮子あずさ

2017年01月11日 20時58分46秒 | 読書(介護/終活)


両親の送り方 死にゆく親とどうつきあうか」宮子あずさ

印象に残った文章を羅列する。 

P57
老いと病気で関係性が煮詰まるほどに、ものを言うのは、元気なころのよい関係
P113
親子は他人になるわけではなく、愛情とともに、逃げようのない重さがあります
P118
「早死には本人の不幸。長生きは他人の不幸」by山田風太郎
P130
「看取りに後悔はつきもの」
P136
どんなに嘆き悲しんでいるご遺族にとっても、死はひとつの開放なのではないか
P138
どんなに気が合う親子でも、子どもにとって親は絶対的な権力を持っています
P148
「50代は人生最後の『貯め時』でもあります。ここで意識を切り替えて、『お金が貯まる家計』への体質転換ができるかどうかが、老後の運命の分かれ道です」byファイナンシャルプランナー藤川太

作品としての面白さは低いが、実用書とはそんなもの。
あまり、多くを期待して読んではいけない。
参考になる文章があったな、と。
ひとつでもあれば、OKでしょう。

[目次]
第1章 死ぬのも死なれるのも未体験(死をどのように迎えるか
あきらめの達人だった父の死 ほか)
第2章 老いと病は親を変える(親と子の立場が逆転するとき
老いと病気で衰えていくパターン ほか)
第3章 やるだけのことはやった満足感(母の最後に後悔なし
親から解放されるということ)
第4章 上手に老いてゆくために(いつまで働きつづけるか
人生のリスクと向きあう ほか) 

【ネット上の紹介】
実親の驚愕の変化!どうしようもない現実に何ができる? 看護師歴30年の著者は72歳の父親、80歳の母親(女性評論家の吉武輝子)を見送りました。「老いと病は人を変える」と500人以上の患者を看取ってきた著者は書きます。酸素ボンベを使わざるをえない状況なのに「あなたには迷惑をかけない!」と言って出かけようとする母親に振り回される周囲。「人の手を煩わせてまで、なんて思っていても、たぶん年を重ねれば宗旨替えするに違いない。人間はそうそう潔くはできていない」いつの間にか親を怒ってばかりの鬼娘になってしまい、親と子の立場が逆転する思いもよらない現実!「両親の送り方」に正解はないのでしょうか。


ポンポン山▲678.9m

2017年01月10日 21時09分03秒 | 登山&アウトドア(関西)

ポンポン山に登ってきた。
神峰山寺では、甘酒(無料)と厄除けぜんざい(200円)のテントがあった。
せっかくなので両方とも味わった。(感謝)
以上、記録として残しておく。
【参考リンク】
1月 神峯山寺の行事のお知らせ - 日本最初毘沙門天 神峯山寺

鏡もちを切って焼いてぜんざいにしている、即ち厄除けぜんざい

こちら本山寺


「高峰秀子の捨てられない荷物」斎藤明美

2017年01月10日 20時30分01秒 | 読書(伝記/自伝/評伝)


「高峰秀子の捨てられない荷物」斎藤明美

いったい家族ってなんだろう、と考えさせられる作品。
デコちゃんの愛称で知られる、高峰秀子さん。
日本を代表する女優である。
昔、私が学生だった頃、自伝「わたしの渡世日記」を読んだことがある。
半生を振り返り、生き生きと描写され、昭和史としても価値のある作品。
小学校もほとんど行けず、これだけの文章が書けるとは、どれだけ聡明なのか。
文章が巧いだけでなく、内容に深みがあり、面白い。

さて、本書であるが、裏「わたしの渡世日記」とも言うべき内容。
「わたしの渡世日記」で描かれなかった「負」の側面が描かれている。
著者はデコちゃんの養女・斎藤明美さん。
養女だからこそ書ける数々の真実。
秀子が4歳の時、実母・イソが結核で死ぬ。
そこからが苦労の連続。
養母・志げの元で小さい頃から、子役として働く。
養母と14人の親類縁者たちに食い物にされ続ける。
精神的にも、相当な苦痛だったと推察さる。
これはまさしく虐待である。

このタイトルの「荷物」とは、家族と思っていた。
読むとそれだけでないことが分かる。
養母、親類縁者、後援会、家・別荘・財産、仕事…なにより、“高峰秀子”という重荷。
天国で安らかにされていることを祈る。合掌。

P155
秀子がその聡明さを真っ直ぐに伸ばし長じていく中で、1人取り残され、またその成長にも気づかぬ母は、当初の愛情が妄執に変わり、さらに憎しみとなって、遂には、かつての“愛情”の原型さえも留めぬほどの、歪で醜い、何とも形容しがたい情念だけが志げの上に出現してしまったのだ。

P293
高峰がいつか言ったことがある。
「美空ひばりさんが羨ましかった。お母さんがひばりちゃんのために家庭教師をつけてくれたのよね。いいお母さんだと思う」

P404
人は生涯のうちにどれだけ人と出逢うものか知らないが、その中で、幸せを与えてくれる人が何人いるだろう。

新潮文庫<br> わたしの渡世日記〈下〉新潮文庫<br> わたしの渡世日記〈上〉  
[目次]
一本のクギ
仮面と鎧
荷物

人間嫌い
鶏卵
一日一笑
ふたり

【ネット上の紹介】
五歳で女優デビューし、「二十四の瞳」など数多くの名画に出演。五十五歳で引退後は名随筆家として知られた高峰秀子。養母を巡る親族たちとの葛藤、夫松山善三との生活など、高峰秀子を敬愛して「かあちゃん」と慕い、ついには養女となった著者が、本人への綿密な取材をもとに、その「潔い」生き方を描く、唯一無二の感動的評伝。高峰秀子の「ひとこと」に加え、松山善三によるレビューも収録。


「彼女の家計簿」原田ひ香

2017年01月10日 08時06分53秒 | 読書(小説/日本)


「彼女の家計簿」原田ひ香

読みごたえのある作品。
里里は失業中のシングルマザー。
そこへ、戦中戦後の暮らしを記した家計簿が、母から送られてくる。
母とは反りが合わず、ずいぶん疎遠となっている。

家計簿を書いた加寿、NPO「夕顔ネット」の三浦晴美、
それぞれの人生が交錯し、物語が進行する。
先日読んだ「失踪.com 東京ロンダリング」が良かったので読んでみた。
読んで良かったと思える作品だ。


【ネット上の紹介】
日々の暮らしを記した家計簿が語る、旅館の下働きから身を起こし必死で生きた女の証を、すばる文学賞受賞作家が丹念に描いた作品。 


「蜩ノ記」葉室麟

2017年01月08日 04時24分51秒 | 読書(歴史/時代)


「蜩ノ記」葉室麟

146回直木賞受賞作。
秋谷は七年前、前藩主の側室との密通の廉で家譜編纂と十年後の切腹を命じられる。
そこへ、編纂補助と監視を兼ねて庄三郎が派遣される。
庄三郎は、秋谷と一緒に暮らし、その清廉さに触るうち、無実を信じるようになる。
いったい、彼は罪を犯したのか?事件の真相は?
ミステリ仕立てで物語は進行する。

P32-33
「蜩(ひぐらし)とは?」
庄三郎が訝しむと、秋谷はにこりとした。
「夏がくるとこのあたりはよく蜩が鳴きます。とくに秋の気配が近づくと、夏が終わるのを哀しむかのような泣き声に聞こえます。それがしも、来る日一日を懸命に生きる身の上でござれば。日暮らしの意味合いを込めて名づけました」

P220-221
「ひととしての縁(えにし)とは、どのようなことでございましょうか」
薫は首をかしげて訊いた。
「この世に生を享けるひとは数えきれぬほどおりますが、すべてのひとが縁によって結ばれているわけではございませぬ。縁で結ばれるとは、生きていくうえの支えになるということかと思います」

死を覚悟した生き方とはどのようなものだろう?
片鱗でも感じたくて読んでみたが…。
う~ん、凡人には、こうはいかないでしょうね。

【ネット上の紹介】
命を区切られたとき、人は何を思い、いかに生きるのか? 豊後羽根(ぶんごうね)藩の檀野庄三郎(だんのしょうざぶろう)は不始末を犯し、家老により、切腹と引き替えに向山村(むかいやまむら)に幽閉中の元郡(こおり)奉行戸田秋谷(とだしゅうこく)の元へ遣(つか)わされる。秋谷は7年前、前藩主の側室との密通の廉(かど)で家譜編纂(へんさん)と10年後の切腹を命じられていた。編纂補助と監視、密通事件の真相探求が課された庄三郎。だが、秋谷の清廉(せいれん)さに触れるうち、無実を信じるようになり……。凛烈(りんれつ)たる覚悟と矜持(きょうじ)を描く感涙の時代小説!(平成23年度下半期 第146回直木賞受賞作)


歯科受診

2017年01月07日 21時14分26秒 | 身辺雑記

昨年12/3、歯科を受診して「顎関節症でしょう」と言われた。
ところが、このI歯科は口腔外科ではなかったので、「当院では治療不可」と。
ネットで調べると、駅前のH歯科が良い感じ。
年末は、私が忙しく、年明けの今日になった。
予約時間は10:00am。
用事を済ませて、急いで駆けつける。
H歯科はかなり繁盛している様子。
衛生士さんがハンパなく多い。
技工士と判断される方もいる。(一般クリニックでは珍しいように思う)
設備も最新、各部屋のセキュリティも確認した。(各部屋に隠しカメラ設置されていた)エアコンはダイキン。

「間違いなく顎関節症です」、とH先生。
診察時間は約1分、早口でカルテ記載事項を述べて去って行った。
ほとんどの時間を衛生士さんと技工士さんが対処。(9:45に受付、待ち時間を含めて費用を払ったのが11:10…約1時間半滞在、実診療時間1時間)
顎関節症と歯周病の説明を受ける。
(歯周病治療の必要あり、と言われた)
顎関節症対策としてマウスピースを作ることになって型を取った。
歯周病は地道に治療を受けるように、と。

初診料234
医学管理等110
歯周病検査250
画像診断402
処置68
修復・補綴40    
合計1104点×3割負担=¥3310円


昨年印象に残った

2017年01月06日 20時26分18秒 | クライミング(一般)

2016年で印象に残ったクライミング記事を
雪山大好きっ娘。+さんより3つ選んでみた。

 アダム・オンドラ、ヨセミテ・エルキャプのDawn Wa...
大西良治、称名川本流を初の完全遡行
吉田和正、肺ガンで死去


リソール完了

2017年01月05日 21時27分57秒 | クライミングギア&登山装備

リソールを頼んでいたシューズが返ってきた。
ご存じのように、スーパーモックは製造中止。
リソールしながら使っている。
ソールはステルス・ミスティーク。
でも、このソールはリソール出来ない。
そこで、C4ラバー4㎜を貼ってもらった。
(仕方ないけど、硬く感じてしまう…馴れというものか)

修理前の状態は、次のとおり
ソールは全体に磨り減り、部分的に剥がれ、アッパーもめくれている



修理後は次のとおり


ソール6200円+アッパー540円


ポンポン山▲678.9m

2017年01月04日 20時45分30秒 | 登山&アウトドア(関西)

今年最初のポンポン山に登ってきた。

登山道

山頂

本山寺の樒(新年と言うことで新しくなっていた)

摩尼車が設置されていた

こちら神峰山寺


2016読書ベスト

2017年01月02日 20時58分56秒 | 読書(ベスト)

昨年の読書を振り返って、2016年ベストと言うか、印象に残った作品を選んでみた。

【一般小説』
みかづき
「みかづき」森絵都
「羊と鋼の森」宮下奈都
「失踪.com 東京ロンダリング」原田ひ香
「子育てはもう卒業します」垣谷美雨
「坂の途中の家」角田光代
「ニュータウンは黄昏れて」垣谷美雨
「狩猟家族」篠原悠希
「祈祷師の娘」中脇初枝 
「マチネの終わりに」平野啓一郎
「火竜の山 南アルプス山岳救助隊K-9」樋口明雄

【時代/歴史小説】

「ふたり女房」澤田瞳子
「天下一の軽口男」木下昌輝
「あきない世傳金と銀」(2)高田郁
「なでしこ日和 着物始末暦」(7)中島要
「師走の扶持」澤田瞳子
「錦の松 着物始末暦」(6)中島要
「つまをめとらば」青山文平
「孤鷹の天」澤田瞳子
「夢も定かに」澤田瞳子
「あきない世傳金と銀 源流篇」高田郁

【ノンフィクション】

「将棋の子」大崎善生
「戦後史入門」成田龍一
「台湾海峡一九四九」龍應台
「脱出記 シベリアからインドまで歩いた男たち」スラヴォミール・ラウイッツ
「ひとりの記憶 海の向こうの戦争と、生き抜いた人たち」橋口譲二
「原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年」堀川惠子
「歴史認識」とは何か 対立の構図を超えて」大沼保昭/江川紹子
「オーバー・ザ・エッジ 」グレッグ・チャイルド
「戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗」加藤陽子 
「外道クライマー」宮城公博
「アローンオンザウォール」アレックス・オノルド/デイヴィッド・ロバーツ

【エッセイ・対談】

「 美術品でたどるマリー・アントワネットの生涯」中野京子
「トランプがローリングストーンズでやってきた」町山智浩
「台湾生まれ日本語育ち」温又柔
「ニッポン社会」入門/ コリン・ジョイス
「山の神さま・仏さま 面白くてためになる山の神仏の話」太田昭彦
「たてもの怪談」加門七海
「新怖い絵」中野京子
「日本人の肖像」葉室麟
「世界史としての日本史」半藤一利/出口治明

【ファンタジー・SF】

「エチュード春一番 第2曲 三日月のボレロ」荻原規子
「エチュード春一番 第1曲」荻原規子

【マンガ】
ヤンマガKC<br> ザ・ファブル 〈8〉 
「百姓貴族」(2)(3)荒川弘
「海街diary」(7)吉田秋生
「ザ・ファブル」南勝久
「3月のライオン」(12)羽海野チカ
「星間ブリッジ」(1) きゅっきゅぽん
「レベレーション-啓示-」(1)山岸凉子
「三十三間堂外伝」平田弘史士
「名づけそむ」志村志保子
「あれよ星屑」(5)山田参助 
「百姓貴族」(2)(3)荒川弘
「風雲児たち」(4)みなもと太郎
「フルーツ宅配便」(1)鈴木良雄

【参考リンク】
2015年間ベスト
2014読書best
昨年の読書2013.1-2013.12


謹賀新年・阿武山

2017年01月01日 19時00分36秒 | 登山&アウトドア(関西)

明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いします。
さて、元旦ということで、自転車で行ける阿武山に登ってきた。

お参りもした

天気も良くて気持ちよかった

なかなか立派な山頂です