江戸時代のお仕事小説であるが、家族も描いている。
さらに、経済の要素も強い。
徳川幕府は、米で世の中を回そうとするが、
世の中は、貨幣の時代に変わっていっている。
その齟齬、相克が具体的に描かれる。
そうとうな資料を読みこなしていると感じる。
しかも面白い。感心した。
P4
「別れた女房に去り状を渡さないまんま後添えをもらったら、その亭主は処払いになっちゃうの」
P5
「去り状っていうのは、たとえ女房がどんな不始末をしでかそうと、“気合わずそうろうにつき”とか、“互いの縁これなく”とか、理由をあいまいにぼかすのが当たり前でしょ。それが男の意気地ってもんでしょう」
【おまけ】
青山文平作品を読むのはこれで4冊目。
「鬼はもとより」
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「つまをめとらば」
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「半席」
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「励み場」
「鬼はもとより」第152回直木三十五賞候補、「つまをめとらば」で154回直木三十五賞受賞。
本作は、受賞後2作目。
私は、「半席」より、こちらの方が面白く感じた。
【ネット上の紹介】
信郎は江戸へ出て勘定所の下役になり、実績を積み上げて、真の武家を目指すのだが…。「仕事とは何か」「人生とは何か」「家族とは何か」を深く問う書き下ろし時代長篇。