「これは経費で落ちません」(6)青木祐子
シリーズ6作目。
次の5編が収録されている。
第一話 男ができると女って変わりますよね
第二話 大きなダムが決壊するのは、小さなひび割れからだ!
第三話 恋愛ってコスパが悪いんだよな
第四話 わたしはフェアではありません
エピローグ ~真夏の真夕ちゃん~
オフィスを舞台にしたライトノベル、だけど、登場人物の造形がしっかりしていて、一般向けの小説として、充分内容のあるシリーズだ。
今回は特にそれを感じた。
第二話と第三話が繋がっており、秘書のマリナが副業としてキャバ嬢をしている、って発端から、M&Aの話にスケールアップしていく。
企業小説として成り立つ内容で、社内の「政治」に無関心な森若さんが、どう関わっていくか?興味深いところだ。(読んでいて、雫井脩介さんの「引き抜き屋」を思い出した)
P47
彼氏ができたからといって沙名子自身は変わらない。すりあわせが必要なだけだ。スマホに新しいアプリを入れたようなものである。ちょっと面倒なアプリだが、そこそこ役立つし楽しいので使うことにする。(森若さんのキャラが良く出ているモノローグだ)
【おまけ】
TVドラマ化され放映中の作品。
シナリオが良く練られている。
小説の複数エピソードを、巧く絡めて進行させている。
それぞれのキャラも、より明確になるよう設定されいている。
つまり、「分かりやすい」と言うことだ。
小説では、「読者が察する」「行間を読む」と言った手間があるが、
それを省いて、「答え」を明示しているような感じだ。TVだからね!
(文句を言ってるんじゃない、誉めているのだ・・・よく出来ている、と。役者さんも良い演技をしている。特に、 伊藤沙莉の真夕と、ベッキーのマリナ役は、いい感じ)
【参考リンク】
これは経費で落ちません! - NHK ドラマ10
【ネット上の紹介】
天天コーポレーションに企業合併の危機!?役員秘書の有本マリナが、キャバクラでアルバイトをしているという噂を確かめるため、調査を始めた麻吹美華がとんでもない情報をつかんだ。知り合いに頼んで潜入調査で撮ってきてもらった映像のなかに、天天コーポレーションの部長三人が、企業買収の専門会社の人間と会っている場面があったのだ。会社の危機に沙名子は…?