きいろいゾウ
2013年/日本
テクニックを重視した演出について
総合 70点
ストーリー 0点
キャスト 0点
演出 0点
ビジュアル 0点
音楽 0点
主人公の無辜歩(むこあゆむ)と妻利愛子(つまりあいこ)がそれぞれ「ムコ」と「ツマ」と呼ばれているところを見ると、2人はカップルの原型として提示されているのであろう。実際に、アレチとセイカという年老いたカップル、夏目と彼の妻の緑の熟年カップル、そして大地と洋子という幼いカップルが2人の周りを囲み、ムコの突然のプロポーズに答えたツマは一緒に暮らしながらムコは日記に、ツマは木々や動物たちと会話を交わすことで相手の気持ちを探り合っていく。
そのような経緯で結婚したカップルだからお互いのことはよく分からないのであるが、それは本作を観ている観客も同様で、しばらくは固定カメラと長回しで映し出される2人の日常生活を見ながら状況を推察するしかない。
それまできっちりとした構図で固定カメラにより撮られていた映像がブレるところが二箇所ある。最初はツマとムコが水道の蛇口を巡って攻防するシーンであり、もう一箇所はムコがツマにプロポーズするシーンである。どちらも本音を露にする場面で、この二箇所のハンディカメラの使い方が上手いと思う。特にプロポーズするシーンの画面の微妙な傾き具合が、それまでの固定カメラの‘正確’な映像とは対照的なシュールさを醸し出していて面白い。
やがてお互いの気持ちが理解できるようになってきた頃にムコは日記を書くことを止め、ツマは木々や動物たちと会話を交わさなくなるのである。ストーリーよりもテクニックを重視した思い切った演出は個人的には嫌いではない。
「紀信さんに憧れ…」越えた一線 ガガさんら撮影、有名カメラマンの写真集は男性器のオンパレードだった(産経新聞) - goo ニュース
シンガポール国籍の写真家のレスリー・キーの問題となった写真集に関して捜査関係者
が、わいせつDVDや写真集などの摘発に慣れた捜査員でさえも、顔を背けたくなるような
内容で「あれはアートではない。明らかにアウト(違法)」という気のきいたようなコメントを
うかつに信用しない理由は、アレクサンドル・ソクーロフ監督の2011年の作品『ファウスト』
の冒頭のシーンで映し出される男性器でさえぼかしを入れられているためで、要するに
たとえアートでも“アウト”になってしまうからだが、さすがに射精する場面まで掲載されて
いるのであるならば擁護しようがない。「ぎりぎりのタブーに挑戦したかった。男性のヌード
は出版点数が少ない。これなら世界的に評価されると思った」とレスリー・キーは言っている
ようだが、それならば日本で出版しなくてもよかったように思う。