MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ローン・レンジャー』

2013-08-02 22:59:52 | goo映画レビュー

原題:『The Lone Ranger』
監督:ゴア・ヴァービンスキー
脚本:ジャスティン・ヘイス/テッド・エリオット/テリー・ロッシオ/エリック・アーロンソン
撮影:ボジャン・バゼリ
出演:アーミー・ハマー/ジョニー・デップ/トム・ウィルキンソン/ヘレナ・ボナム=カーター
2013年/アメリカ

幻想としてのヒーロー像 

 ジョン・ロックの『統治二論(Two Treatises of Government)』(初版1689年)を片手に、あくまでも法律に則って正義を執行しようとする主人公で検事のジョン・リードにとって1869年のテキサスは余りにも過酷な場所だった。テキサス・レンジャー部隊の仲間であるコリンズに裏切られて兄のダン・リードを殺されたために、法律を遵守させる目的で法律を犯すために顔にマスクをして検事という身分を隠し、「ローン・レンジャー」というヒーローになりきるジョン・リードの活躍劇は「ヒーロー論」としてとても分かりやすい。
 ジョンにマスクを着用することを勧めたトントにしても顔に奇妙なペインティングを施している。彼がまだ少年だった頃に、瀕死の状態だったブッチ・キャベンディッシュとレイサム・コールを救い、銀山の場所を教える代わりに懐中時計を貰うのであるが、銀山を独占しようと企んだ2人が、コマンチ族の仲間たちを皆殺しにし、そのことに対する復讐の誓いの印であるはずで、2人の「マスク」が違う理由は、ジョンが法律の執行の不可能性を表していることに対し、トントが古典派経済学やマルクス経済学の概念である交換価値の空論振りを表していると言えるだろう。
 しかし、ゴア・ヴァービンスキー監督の前作『ランゴ』(2011年)を観ても分かるように、「ヒーロー」は「精霊(Spirit)」としてしか姿を見せず、それはシルバーと呼ばれる白馬の不思議な力で不死身になったジョン・リードも同様で、「ウィリアム・テル序曲」が派手に流れるクライマックスの中でも、ヒーローの限界を悟る監督の冷静な視線が印象的であるのだが、アメリカにおいては興行的には大失敗したらしい。確かに馴染みがあるとはいえ現代においては黒マスクだけのローン・レンジャーも、バスター・キートンを気取ったトントも地味な感は否めない。それでも個人的には、ラストの名前と名前の間で文字を避けるように砂漠の真ん中を歩いて去っていく老いたトントのエンドタイトルの絶妙さを観る時、本作とは全く関係ないところまで気を配る演出は素晴らしいと思う次第である。


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「バカ」という免罪符

2013-08-02 00:26:57 | Weblog

麻生氏発言、政権に動揺=撤回も幕引き不透明(時事通信) - goo ニュース

 麻生太郎副総理兼財務相のコメントを全文引用しておこう。「7月29日の国家基本問題

研究所月例研究会における私のナチス政権に関する発言が、私の真意とは異なり誤解を

招いたことは遺憾である。私は、憲法改正については、落ち着いて議論をすることが極めて

重要であると考えている。この点を強調する趣旨で、同研究会においては、喧騒にまぎれて

十分な国民的理解及び議論のないまま進んでしまった悪しき例として、ナチス政権下の

ワイマール憲法に係る経緯をあげたところである。私がナチス及びワイマール憲法に係る

経緯について、極めて否定的にとらえていることは、私の発言全体から明らかである。

ただし、この例示が、誤解を招く結果となったので、ナチス政権を例示としてあげたことは

撤回したい」。しかし確かに麻生の「ドイツのワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。

誰も気がつかない間に変わった。あの手口を学んだらどうか」という発言は、民主的な

ワイマール憲法がいつの間にか誰も気がつかない間に全権委任法により「ナチス憲法」に

変わったとしか解釈のしようがない。日本人は麻生がバカであることを知っているから辞任

する必要がないのかもしれないが、ドイツの閣僚だったら即刻国会議員辞職であろう。


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