原題:『Schläfer(Sleeper)』
監督:ベンヤミン・ハイゼンベルク
脚本:ベンヤミン・ハイゼンベルク
撮影:ラインホルト・フォアシュナイダー
出演:バスティアン・トロスト/メーディ・ネボウ/ロレッタ・プフラウム
2005年/ドイツ
「個人」と「政治」を繋ぐもの
ミュンヘンの大学でウィルス学を教えるために赴任してきた主人公のヨハネスは、連邦憲法擁護庁の女性職員から、大学の同僚となるアルジェリア出身のファリッドの身辺調査をするように要請を受ける。最初は断っていたが、ファリッドと一緒に訪れたバーで働いていたベアトと知り合い、ファリッドに紹介して仲良くなりながら、森の中でファリッドがベアトとキスをしているところを目撃するなど、やがてベアトが自分ではなくファリッドに気があることを知り、さらに共同で発表するはずだった研究の報告書にファリッドの名前は掲載されるが、自分の名前が載らないことを知り、主任教授に訴えるものの、自分の努力が認められないことを知ったヨハネスは真偽が曖昧なままファリッドが近所で発生した爆発事件の仕掛け人とみなして裏切ることになる。私生活の恨みが‘政治犯’を生み出し、誰が実質的な「潜在スパイ(=Sleeper)」となるのか分からないという皮肉が描かれている。