MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『休暇』『イン・ザ・シャドウズ』

2013-08-17 22:16:55 | goo映画レビュー

原題:『Ferien』
監督:トーマス・アルスラン
脚本:トーマス・アルスラン
撮影:ミヒャエル・ヴィースヴェック
出演:アンゲラ・ヴィンラーク/カロリーネ・アイヒホルン/ウーヴェ・ボーム
2007年/ドイツ

原題:『Im Schatten』
監督:トーマス・アルスラン
脚本:トーマス・アルスラン
撮影:ラインホルト・フォアシュナイダー
出演:ミシェル・マティシェヴィチ/カロリネ・アイヒホルン/ウーヴェ・ボーム
2010年/ドイツ

登場人物の過去について

 「ベルリンの郊外ウッカーマルク。森に囲まれた閑静な家にアンナは夫と息子と暮らしている。ある夏の日、アンナの前夫との間の娘ラウラが恋人と子どもと共に休暇に訪れる。またアンナの母親も重病のためアンナの家で介護を受ける。そこに外国暮らしの次女ゾフィも戻って来る。これまでバラバラだった家族が集い、ぶつかり合い、お互いの関係が見つめ直される。ある者は去り、ある者は残り、夏は終わってゆく。」という『休暇』のあらすじは、渋谷哲也氏による「トーマス・アルスラン監督特集」鑑賞の手引きに書かれているものであるが、一度本作を観ただけでは家族の関係性はよく分からない。もちろん「Ferien」というタイトル自体、冒頭ではなく、およそ20分くらい経過してから画面に現れるように、あらゆる情報の遅延は拙速な‘誤解’を避けるために意図したものではあろう。
 しかし家族の関係性が分かりにくいために、物語そのものも把握しにくく、夫のロベルトと息子のマックスと共に暮らしているアンナのもとに、ベルリンで暮らしている娘のラウラが恋人でジャーナリストのパウルと彼の子供たちを連れてやって来て、外国で暮らしていた教師のゾフィもやって来ることから、家族間を巡る問題が起こることになるのであるが、具体的にそれぞれの登場人物の背景が描かれておらず、エリック・ロメールのような作風ではあるのだが、ユーモアが感じられなかった。
 ストーリーテリングの方法としては『イン・ザ・シャドウズ』もそれほど変わらないのであるが、『休暇』よりも登場人物が少ないこの犯罪映画は、冒頭においてかつての強盗仲間を近所のカフェで夜に一人で待っている主人公のトロヤンがラストにおいても一人でクルマに乗って逃げていくシーンまで、トロヤンが仲間と起こす現金輸送車襲撃事件そのものよりも、主人公の過去を明かさないことで却って主人公の孤独な寂寥感を浮かび上がらせることに成功しているように思う。


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「はだしのゲン」の過激の理由

2013-08-17 00:06:27 | Weblog

「はだしのゲン」閲覧を制限 松江市教委「描写過激」(朝日新聞) - goo ニュース
「はだしのゲン」子どもの閲覧を制限する市教委(読売新聞) - goo ニュース

 島根県松江市教育委員会が、広島での被爆体験を描いた漫画家の故中沢啓治の代表作

「はだしのゲン」(全10巻)が、作品中の暴力描写が過激だとして、昨年12月から松江市内

の市立小中学校の図書館で子どもたちが自由に見ることができない閉架の状態になって

いることが分かった。描写が残虐と判断したのは、旧日本軍がアジアの人々の首を切り落と

したり、銃剣術の的にしたり、女性に乱暴したりする場面で、古川康徳・副教育長は「ゲンは

平和教育として非常に重要な教材。教員の指導で読んだり、授業で使うのは問題ないが、

過激なシーンを判断の付かない小中学生が自由に持ち出して見るのは不適切と判断した」

と説明しているのだが、これは明らかに自虐史観を恐れての処置でしかない。出版社の

「汐文社」(東京都)の政門一芳社長が「一場面を取り上げて過激だとせず、本質を見て

ほしい。天国の中沢さんも悲しんでいるはず」と話している通りで、これでは島根県が竹島

の領有権で揉めている韓国の偏向教育と同じ過ちを犯してしまうのではないだろうか


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