原題:『Pacific Rim』
監督:ギレルモ・デル・トロ
脚本:ギレルモ・デル・トロ/トラヴィス・ビーチャム
撮影:ギレルモ・ナヴァロ
出演:チャーリー・ハナム/菊地凛子/イドリス・エルバ/チャーリー・デイ/芦田愛菜
2013年/アメリカ
人間同士の絆の薄さについて
作品の最後で特撮映画監督であるレイ・ハリーハウゼンと本多猪四郎の名前を出すほどだから、「カイジュウ」と呼ばれる謎の巨大生命体と人型巨大兵器「イェーガー」との対決シーンは文句の無い迫力ではあるが、ストーリーが映像に追いついていない印象を受けた。例えば、巨大ロボット「イェーガー」を2人のパイロットによって稼働させるという設定は面白く、「カイジュウ」との戦闘の際に、兄を失った主人公のローリー・ベケットが新しいパートナーとして訓練生の森マコと組むことになるという展開は、かつて『ウルトラマンA』で主人公の北斗星司と南夕子の不完全燃焼のまま終わってしまった愛の物語を完成させてくれるのかと期待したものの、「イェーガー」を操縦する際にリンクさせなければならない、ローリーとマコの心の葛藤が丁寧に描かれることはない。それはスタッカー・ペントコストが、ゴーストタウンと化し、一人で逃げ惑っていた幼いマコを「カイジュウ」から守り、引き取ってからの、親を失い、その原因となった「カイジュウ」に対するマコの心の葛藤が具体的に描かれていないからだと思う。要するに、「カイジュウ」と「イェーガー」の組み合わせは上手くいっているのであるが、人間同士の絆が薄く、ヴィジュアル面はともかくとして、ストーリーが弱いと感じてしまうのである。
どうでもいい話ではあるが、「萌&健太」というビデオ店は名前から察するとAV専門店だと思う。