(釜ヶ崎の朝@新今宮駅前)
新今宮の高級ドヤ(笑)で仮眠程度の睡眠を取り、夜明け前の新今宮駅前を歩く。まあ仮眠っても5時間くらいは寝れたからね、結構体力は回復。旅人の朝も早いが、釜ヶ崎の労働者の朝はもっと早いよねえ。ってかそもそも寝ていないのか、こんな時間から所在なげにやたらと路地をウロウロしている人間の多い事多い事…この写真を撮影した左側にある目の前のローソンでは24時間営業の明かりを頼りに自由人労働者の皆様が絶賛酒盛り中で、ローソンの店員が散乱した安酒の瓶やゴミを何も言わずに片付けている。なんというか訓練されてますなあローソンの店員…
今日はここ、南海の新今宮駅から旅をスタート。待っているのは5:09発の高野線の始発電車。静かなホームとは対照的に、ホームの下からは労働者たちの大きな声が聞こえて来る。そしてシャッターがガラガラと開く音がすると、労働者の声は猥雑な怒鳴り声に。南海線のホームの下にあるあいりん地区の職安は、朝5時から日雇いの仕事の斡旋を開始するらしい…だーからやったらと朝早くからここらの人間ってウロウロウロウロしてんのか。アタクシは単なる物見遊山の旅の人間ですが、釜ヶ崎の人間にGWもクソもなく、今日イチの仕事にありつけるかあぶれるか、文字通りの食うか食われるかのシビアな戦いなのでしょう。
南海高野線の始発電車は、各駅停車の河内長野行き。摂津の国から河内の国へ、大阪南部の平野部を南へ走ります。中百舌鳥で泉北高速線を右に分け…とか言ってますけど、正直爆睡してたんで良く分かりません(笑)。あ、でも神の名に懸けて初芝駅は一応しっかりと鑑賞したよ!何の変哲もない普通の2面2線の駅だったけど!河内長野で始発の極楽橋行き各停へ再びお乗り換え。今日は南海高野線の山岳部、極楽橋から高野山を目指そうという寸法です。
南海高野線に関しては橋本から先が相当な山岳路線というイメージでいたのですが、なんだかんだ言って河内長野から先あっさりと断続的な金剛山地越えの上り勾配が始まるのでこの時点で既に山岳路線のきっつい道のりである。紀見峠をサミットとする拝み勾配なのですが、新緑の中を紀見トンネルで抜けると山の中のニュータウンなんぞを眺めながら橋本駅へスイスイと下って行く。
橋本を出ると、大きく右カーブしてJRの和歌山線をくぐり和歌山の大河・紀ノ川を渡ります。平成28年熊本地震でクローズアップされた日本の大きな地溝帯である中央構造線上の川。ちなみに和歌山県の紀ノ川沿いも近畿地方の中では地震の多い地域ではあるんですよね…紀ノ川を渡って紀伊清水・学文路と小駅に止まりつつ九度山からは車窓は本格的な山岳風景に変わって行きます。
つづら折れのカーブ、無数のトンネル、谷に架かる橋を抜け、高野線は橋本から極楽橋まで約440mの標高差を登って行きます。最大勾配が50‰も厳しいですが曲線半径が100mと言うのが鉄道車両には相当辛い。そのためにこの区間に入る車両は17m以下のサイズと大出力モーターを持った車両に限られていて、そこに入れる車両の代表がいわゆるズームカーと言われるグループ。とりあえず終点の極楽橋まで行っても良かったんだけど、まずは終点一個手前の紀伊神谷駅で下車。南海全線の中でも最低の利用客数を誇る(?)秘境駅でもあります。
朝のキリリとした山の空気清々しく、ホームに降りて写真を何枚か。撮っていたらどうにも態度の悪い駅員がいきなり「写真なんか撮られても迷惑だ、用がないんだったら早く出ろ」的な文句を言って来た。何だコイツ。確かに駅のホームはカーブしていて見通しも悪く、ホームに居残られたら面倒が起こるのかもしれないがモノには言い方ってもんがあるだろと。下車して1分も経たないうちの話である。迷惑な撮り鉄が増えている事も事実ではあるんで要するにマニアが大っ嫌いな人なんでしょうが…
そもそもこんな山の中にある駅ですが、自改も導入されており社員のやる事なんぞ列車通過時の立哨警戒以外は何もないと言っても良い。個人的にはそこまでの事をしたつもりはないのだけど、駅員氏の虫の居所が悪かったのかお腹が空いていたのか…お気に召さなかったとしたらとても雰囲気の良い駅であったのでなんだかミソが付いてしまったなと言う思い。正直残念です。