青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

真夏に涼の黒部谷

2016年08月22日 19時30分00秒 | 黒部峡谷鉄道

(紺碧の水湛え@宇奈月ダム)

宇奈月を出て黒部川の渓谷を新山彦橋で渡ると、右側にはうなづき湖の紺碧の湖面が広がります。光の加減もあるんだろうがすげえ色だ。確か井川線に乗って井川ダム見に行った時もこんな色をしていた記憶があるのだが、トロッコ列車とエメラルドグリーンのダム湖は相性がいいのだろうか。


黒薙温泉の最寄り駅、黒薙駅。車窓から黒薙川の谷を後曳橋で渡るの図。出来ればこの構図は車窓からでなく、駅のホームからしっかり固めて撮ってみたいもの。駅から20分の黒薙温泉は麓の宇奈月温泉の源泉で、宇奈月で使われる温泉はここからパイプで送湯されたものである事はあまり知られていない。ちなみに黒薙から温泉を引く送湯管を敷設したのは、現在の富山地方鉄道の電鉄黒部~宇奈月温泉間の前身である黒部鉄道で、黒部鉄道自体も東洋アルミナムというアルミの電気精錬と黒部川の電源開発を主目的に設立された会社の子会社でした。北陸得意の「電源開発&需要者としての鉄道&大工場」と言う産業振興メソッドですね。


猫又駅の近くにある黒部川第二発電所と、サンナビキ山に続くねずみ返しの大岩壁。車窓に続くのは、眺めるのも首が痛くなるような高みに切り立った黒部の峻嶮と、真夏にもその冷たさが伝わって来るような黒部川の清流である。日差しは強く暑い日でしたが、トロッコ電車はトンネルの中の涼しさが嬉しいよね。

  

猫又駅での交換風景。黒部峡谷鉄道は、宇奈月から少し先のダム湖までは並走する道路があるものの、そこから先は人跡未踏の断崖絶壁にに阻まれた峡谷を行くため、列車の撮影場所と言うのは相当に限られる。一般の人間は黒薙・鐘釣の両駅以外途中下車も許されていないので、黒部谷を走る列車の撮影は乗車しながらか、黒薙駅周辺に僅かに撮影スポットがあるだけ。


東鐘釣山と西鐘釣山に挟まれた、錦繍關(きんしゅうかん)と呼ばれる峡谷。秋の紅葉の頃はそれこそ錦織為す素晴らしい情景が広がるのだそうだ。そう言えば、この先の鐘釣には「黒部の万年雪」と言われる夏でも消えない雪渓が車窓から眺められるのだが、冬期間の雪が少ないのと昨今の地球温暖化のせいか、雪渓が消えていた。


観光鉄道でも工事列車を含めると列車の本数は多く、駅ごと交換のシーンがある。1面1線の黒薙駅以外の全てが交換可能駅で、夏休みと言う事もあって線路容量目いっぱいのダイヤを組んでいる様子。乗務員の皆様もフル回転である。特にトロッコ車輌はオープンエアーで窓がある訳でもないし、列車を離れれば安全の保障は出来ない黒部の厳しい大自然の中。客扱いをしない駅でも全部の列車が停車するので、勝手に降りちゃう観光客の監視などを含め神経を使うところでしょうな。


宇奈月の駅を出て1時間20分、深山幽谷はいよいよ極まれりと言う感じで終点の欅平駅へ。長時間の乗車で子供たちが退屈するorヨメさんが文句を言いだすかと思ったのだが、とりあえずそれはなかったのが幸い(笑)。一般乗客が乗って来れるのはここまでですが、この先も立坑のエレベーターで繋がった上部軌道(関西電力黒部専用軌道)が黒四ダムの発電所まで続いています。欅平の駅は、手前と奥で最大13両の編成を2つ分収容する長い長いホームが特徴で、奥のホームの外側に機回し線が付いている変則的な構造をしている。まあ土地の形状からして横には広げられないので、伸ばせるだけタテに伸ばしたんだろうね。到着列車は奥の降車ホームに入り、その後に機回し済みで待機していた編成が手前の出発ホームに入って来るスタイルです。
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