(湖畔の道@秋鹿町~長江間)
宍道湖北岸の小さな入り江。国道に沿って走る一畑電車のレール。ブルーとホワイトのマリンカラーにブラックの胴回りのオシャレな電車が、葦の生い茂る浜辺を横目に見ながら松江方面へ走って行きます。こうして見ると、宍道湖もほぼ海と変わらないですね。しゃぼしゃぼと波打つ入り江に沿って立ち並ぶ家並み。宍道湖沿岸・・・というか出雲地方は立派な家が多い。平らで大きな土地に重厚な瓦屋根の家々、農家なのか、はたまた漁師さんの家なのか。いずれにしろこれだけ立派な家を建てられるのだから、海も畑も豊かなのだろう。首都圏の貧弱な住宅事情を考えれば、羨ましいことである。
松江イングリッシュガーデン前~松江しんじ湖温泉間のストレートを走る5000系。この辺りは、佐陀川という川の両側に大きく伸びた田園地帯を結構な速度ですっ飛ばしていくバタデンの電車。一畑電車の5000系は、京王の5000系をタネ車に日比谷線のFS510台車を履かせるという京王重機整備お得意の転出改造を受けた車両ですが、観光用に3ドアから中扉を潰して2ドア、車内はなんと小田急のNSEのシートからの転用品でクロスシートに仕上げていて、関東大手私鉄の粋を集めた逸品(?)。マリンルックのクルージングトレイン・・・ともいうべきその出で立ちで、旧来の木造車両を一掃し、一気に近代化を図った5000系ですが、既に一畑へ来てからは25年の歳月が流れました。京王帝都でデビューしてからも約60年近く経過し、車両としてもだいぶ老朽化していることは否めず、早晩置き換えの対象となっている車両でもあります。
正面の貫通扉を埋め込んで「ICHIBATA」の大きなヘッドマークを付けたその顔つきは、京王5000系時代の角尾灯から丸尾灯、オデコも2灯から1灯に変化していることもあり印象は薄いのですが、正面窓下部分に付けられた車番だけは京王フォントになっていて、ここだけ見るとやっぱり京王の車両なんだなって思いますよね。