青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

海辺の街の初夏模様。

2021年06月27日 17時00分00秒 | 富山地方鉄道

(潮香の街の初夏でした@経田駅)

黒部線エリアから若干海側に出て、経田の駅にやって来ました。電鉄石田と経田の二つの駅は、地鉄の中でもそこはかとなく潮の香りがするというか、海を意識するような駅。昼近くになって、高めに上がって来た梅雨の晴れ間の太陽が燦々と降り注いでいる駅前広場。深と静まり返った駅舎の威風堂々とした姿。ここも地鉄の中ではベストテンに入りそうな魅力のある駅です。・・・って、じゃあベストテンってどこなんよ?って聞かれたら時と場合によって変わるんだけどね(笑)。

経田の特徴でもある駅舎前の臨時(?)改札口。駅員配置があった頃は、列車ごとに改札口に駅員が立って、行き交う乗降客を捌いていたものと思われます。海が近いこともあり、ひょっとしたら夏場は海水浴に行く親子連れなんかも降りて行ったかもしれないね。白く光るコンクリートの照り返しに目を閉じれば、麦わら帽子と浮き輪の親子が手を繋いで降りて行くような、そんな郷愁の風景が瞼に。

駅の周囲をぶらりとしていると、市街地には珍しい遮断機のない四種踏切。その踏切の向こうにこれまた立派な門構えの歯医者さんがあった。江戸時代より伝わる「富山の薬売り」にあるように、基本的にこの越中の国は医学医療の発達した地域という印象がある。地鉄の駅の看板広告もやたらと病院が目立ちますしね。

黒部方面から東急が走って来て、二人の乗客を乗せて走り去って行った後。石積みの片面ホームと、ホームの青い上屋が再びの静寂に包まれました。鉄粉で赤錆びたアスファルトから立ち昇る、少し蒸れた梅雨の空気が重たい経田の駅。くすんだベンガラの瓦屋根が、より一層蒸し暑さを引き立てて来るような、海辺の街の初夏模様です。


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