青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

最後に残った、地鉄の矜持。

2021年06月25日 17時00分00秒 | 富山地方鉄道

(寂寞の水鏡映して@浦山~栃屋間)

田んぼの畔に咲いたシロツメクサが風に揺れる、浦山の田園地帯。今や地鉄唯一の特急アルペン。看板も外された苦境の観光特急に、乗客の姿はほぼ見えず・・・ところどころ開いた窓が、コロナ禍の中の地方鉄道の苦境をより色濃く映し出しているような。宇奈月温泉9:00発。寺田でスイッチバックして立山へ、一日一本の片道運行。4月からの新ダイヤ、観光需要がほぼ見込めない中での改正ですし、いっそのこと全部特急運休しても良かったんだろうけどね。この片道運行を僅かに残したのが、地方私鉄ながら長年特急列車を運行して来た会社としての矜持でもあろうし、最後の希望の灯まで消してはなるまいという地鉄からの強いメッセージと言う気がする。

来年度には、宇奈月から欅平を通って黒部ダムに抜けるいわゆる「関西電力ルート」が開通するんですよね。立山からも宇奈月からもアルペンルートにアクセスが可能となれば、富山から立山→室堂→黒部ダム→欅平→宇奈月→富山という回遊ルートが形成されるので、その中で地鉄が果たす役割って大きくなるはずなんだよなあ。例えば東京から黒部宇奈月温泉へ向かい、宇奈月温泉で一泊。翌朝早くから黒部峡谷鉄道で欅平、関電ルートで黒部ダム。ダム観光から黒部湖→室堂→立山→富山から夕方新幹線で帰京なんてコースもいいし、ショートコースで黒部ダムから大町に抜けて安曇野観光から帰京でもいいし、選択肢も多くなりそう。少なくともその頃までに、国内レベルではある程度の活気を取り戻してもらいたいと思ってしまうのだけど。

梅雨晴れや 空気を運ぶ 寂しきに。


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